●政府25日決定

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」による感染急増を受け、石川県は23日、県内全域を対象とする「まん延防止等重点措置」の適用を政府に申請した。感染者のほとんどが無症状や軽症だが、病床使用率が30%を超え、医療提供体制に影響する恐れが出ているため。政府は25日にも石川県の追加を決定し、週内に適用が開始される見通し。県内全域が重点措置対象となるのは初めてで、市町を問わず飲食店は営業時間や酒類提供が制限される。

 県庁で23日、新型コロナウイルス対策本部会議が開かれ、谷本正憲知事は「かつてない規模とスピードで感染者が急増している」と指摘。「断腸の思いだが、いま一度厳しい措置を講じざるを得ない」と重点措置適用の要請を表明した。

 感染状況の判断もレベル2「感染拡大注意報」から一段階引き上げ、レベル2「感染拡大警報」とした。

 県内に重点措置が適用されれば、昨年8月2日~9月30日に金沢市が対象地域となって以来で、計3回目となる。谷本知事は、県全体を対象地域とした理由にオミクロン株の感染力の強さを挙げ、理解を求めた。

  ●認証店は酒類提供可

 今回は27日ごろに重点措置適用が始まるとみられる。県は、感染対策の第三者認証を取得した飲食店では午後9時までの営業と午後8時までの酒類提供を可能とし、非認証店には終日酒類提供自粛を求めた上で午後8時までの営業とする方針。要請に応じた店舗には協力金を支払う。

 県民旅行割は事業停止し、「Go To イート」食事券も販売を中止する。千平方メートル以上の大規模集客施設には入場者の密集を避ける整理誘導を要請する。

 県内では直近1週間の感染者が1244人と、2週間前の62人の約20倍に急増。感染者の7割が30代以下で、重症患者は約3カ月間出ていない一方、保育所や学校でクラスター(感染者集団)が複数発生した。

 入院者は患者全体の約2割に抑えられているものの、県は感染者増加が続けば病床使用率が5割に達し、逼迫(ひっぱく)が現実味を帯びてくると判断。「今後、子どもから家庭内に感染が広がれば、高齢者らに重症者が出かねない」(谷本知事)とみて、法律に基づく行動制限要請に踏み切った。

  ●無料検査を延長

 会議で谷本知事は、昨年末から無症状の県民を対象に薬局183カ所で実施している無料検査の期間を2月末まで延長すると述べた。自宅療養者の増加を受け、健康観察に当たる看護師の人数も増やす。新たな治療法である経口薬は「県内全域の医療機関約130カ所、薬局約220カ所で処方可能だ」と説明し、重症化防止へ活用を求めた。

  ●若年者に十分対策を 市村金大教授

 県対策本部会議のアドバイザーを務める市村宏金大特任教授は23日、まん延防止等重点措置の適用申請に「社会機能を維持するために速やかな対応が求められる状況であり、致し方ない」と理解を示した。その上で「現在の市中感染は飲食店を介してというより、家庭内や保育園、学校など若年者が中心だ。こちらに対しても十分な対策をお願いしたい」と県に要請した。

 市村氏はワクチンの3回目接種で、50歳以上の90%に入院予防効果があるとの研究結果を報告し、接種の推進をあらためて求めた。

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