試験の不正が発覚した「フォリルモン」(富士製薬工業提供)

試験の不正が発覚した「ナファレリン点鼻液」(富士製薬工業提供)

試験の不正が発覚した「レボノルゲストレル錠」(富士製薬工業提供)

 「薬のとやま」の信頼を揺るがす不祥事が再び発覚した。19日、富山県から業務改善命令を受けた富士製薬工業(東京)は23年にわたり、富山市の富山工場で不妊治療薬の不適切な試験を続けていた。同社によると、6年前に不正をいったん把握しながらも改善に至らなかったという。法令順守意識の薄さやずさんな品質管理体制が浮き彫りになった。

【本記 富士製薬工業に改善命令】

  ●ずさん品質管理浮き彫り

 富士製薬工業によると、薬の純度に関する試験が不適切だったのは、排卵を促す不妊治療薬の「フォリルモン」。国から承認を得た1998年6月以来、承認書に記載されている適切な試験を一度も実施していなかった。

 承認書では、純度試験を一部の不純物について2回実施すると定めているが、実際は1回のみにしていた。同社によると、承認申請を行う研究開発部門と製造部門の連携が足りず、正しい試験方法が引き継がれなかったという。

 実施した試験は、別の試験より高い基準で品質を確認するため、健康被害などはなかったとみられる。2016年の一斉点検の際、この事実が発覚したが、改善しなかった。

 子宮内膜症薬の「ナファレリン点鼻液」については2005年2月の承認以降、18、20年に不適切な検査が行われていた。

 担当者は「規範意識の欠如に加え、現場から上司に対する報告の不徹底が不正の続いた一因だ」と説明し、再発防止策を講じると強調した。

  ●「承認書確認徹底を」

 富士製薬工業は、製造拠点を富山市に置く「地元企業」で、役員が県薬業連合会理事を務める。同連合会の高田吉弘専務理事は「会員にあらためて承認書の確認と製造・品質管理の点検を通知したい」と述べた。

 高田専務理事によると、製薬企業の現場担当者が薬剤を承認書通りに製造できず、手順や機材の変更を検討することはある。その場合、国に変更を申請して製造する必要がある。

 県内では昨年、日医工(富山市)、北日本製薬(上市町)が業務停止となり、廣貫堂(富山市)と中新薬業(滑川市)が不適正製造を発表した。いずれも薬連の会員企業で、高田専務理事は「点検、変更申請を怠らないよう徹底したい」と話した。

 関係者によると、富士製薬工業創業者の今井精一氏は、日医工創業者の田村四郎氏、リードケミカル創業者の森政雄氏とともに富大薬学部卒の同級生で、富山の薬業振興に貢献した。

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