県が業務改善を命じた富士製薬工業の富山工場=富山市水橋辻ケ堂

 富山県は19日、富山市に製薬工場を持つ医薬品製造業、富士製薬工業(東京)に対し、国から承認された一部医薬品の品質試験を実施せず、品質管理が不適正だったとして、医薬品医療機器法に基づき、業務改善を命じる行政処分を発表した。県は法令順守の徹底や1カ月以内の改善計画提出を指示した。同社によると、違反行為の一部は1998年ごろから続いていた。

 富士製薬工業は富山市水橋辻ケ堂の富山工場を製造拠点とする。昨年1月に自主点検を始め、不妊治療薬の「卵胞成熟ホルモン剤 フォリルモン」の純度を調べる一部試験を実施していなかったことが分かった。

 社内調査を続ける中で、子宮内膜症などの治療薬「ナファレリン点鼻液」の品質試験が承認外の方法だったことが判明した。さらに、緊急避妊剤「レボノルゲストレル錠」の品質試験で、承認書と異なる器具を用いていたと確認した。

 同社は昨年から「フォリルモン」1626箱、「ナファレリン」6092箱、「レボノルゲストレル」3万5235箱の自主回収を行っている。いずれもジェネリック医薬品(後発薬)で品質には問題がなく、重篤な健康被害の恐れはないとしている。

 県は昨年6月に同社から報告を受け、同月に工場の立ち入り調査を実施した。他の製造品目に問題がないか調査を指示し、12月27日に最終報告を受けた。

 県は昨年3月に後発薬製造大手の日医工(富山市)、9月に北日本製薬(上市町)に対する行政処分を発表し、ともに約1カ月の業務停止を命じた。

 今回、業務停止処分を見送った理由について、県くすり政策課の担当者は「違反内容や悪質性を考慮し、総合的に判断した」と説明した。

 県によると、現場担当者は承認外の試験方法と認識していたが、試験は実施していたことから「品質には問題がない」と考えていたという。また、経営層は「自主点検で初めて分かった」と関与を否定している。

 業務改善命令では▽違反事項の原因の究明、改善▽製造・品質管理を適正に行える体制の構築▽役職員の法令順守徹底、体制整備などを求めた。

 富士製薬工業はホームページで岩井孝之社長名の「行政処分に関するお知らせ」を発表した。「業務改善命令を重く受け止め、患者、医療関係者らに多大な迷惑と心配を掛け、おわび申し上げる」としている。

 ★富士製薬工業 女性医療や急性期医療の薬剤などを製造する医薬品メーカー。1954(昭和29)年に富山市出身の今井精一氏が東京で旧富士薬品商会を創業。59年に富士製薬工業設立。73年に富山工場を新設し、製造拠点とした。グループ従業員数は1532人(昨年9月時点)、昨年9月期連結決算の売上高は339億9千万円。東証1部。

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