SNSやネットには、世のママたちのパパへの不満があふれている。いわく、「私ばっかりワンオペ育児」「在宅ワークで家にいるのに何もしない」「こんな旦那、いる?」。SNSでつらい気持ちを吐き出すのは悪いことではないが、なぜここまで家族であるはずのママ・パパは断絶してしまうのか? 3人の子どもを育てながら、家事・育児について発信している「だいしパパ」こと石丸大志さんのInstagram(@daishipapa)には、その問題解決へのヒントが詰まっている。必死なママの気持ちに寄り添うのはもちろん、パパの思いも無視せずに具体的なアドバイスを送る。性差による家事・育児の負担、働き方に注目が集まる今、石丸さんに考えを聞いた。

【画像】「ワンオペさせる人へ」「パパはいつまで手伝い?」…コレを言ってほしかった!ママ大共感“だいしパパ”の提言

■激務とパワハラで倒れ休養、そのとき見た産後の妻の奮闘に「一人に任せていいものではない」

──在宅ワークをしながら、奥様とともに5歳、4歳、1歳の3人の子どもを育てている石丸さん。最初から育児や家事に積極的だったのでしょうか。

 「もともと子どもが好きで、学生時代にも子どもと触れ合うボランティアをしていたんです。でも、いざ結婚して妻が妊娠した頃には仕事が忙しく、しかも上司のパワハラもあったりして、精神的にも疲弊していました。とはいえ第一子ですし、激務の間にも出産に立ち会うことはできたんですけど、そのあと今度は僕が倒れてしまって…」

――それは、なかなか前途多難なスタートですね。

 「はい(笑)。それで僕が家で休養しながら仕事をしている間に、産後で自分も大変な中、家事と慣れない育児に奮闘している妻の姿を見て。『これは一人に任せていいものではないな』と感じたんです。妻のために何かできることはないかと考えた結果、仕事を変え、在宅でできるWeb関係の仕事をさせてもらうことにしました。その状況の妻の様子を見ることができたのは、いい経験だったと思います」

──そうして感じたことを発信していこうと思ったのは?

 「最初はブログとして、子どもが2人目、3人目と増えていくことを日記のような形でアップしていました。すると、それを読んでくれたママたちから悩みや不安についてのコメントが多くなっていって。そういった声に寄り添うことができたらいいなと思い、インスタを始めました」

──実際、インスタのフォロワーには、どんな人が多いですか?

 「女性が8割、男性が2割で、やはり20~40代の子育て世代の女性が多いです。これまで認められる機会がなかった、ママさんからの声が圧倒的ですね。そういった意見を聞いていても、みなさん本当に頑張っているし、尊敬しています。毎日の頑張りに、100点満点をあげて欲しいと思います」

――頑張っているママさんたちのために、どんなことが必要だと思いましたか?

 「パパは仕事をすれば認められたり、褒められたりする。でもママって、社会から断絶されたように感じてしまう人が多いと思うんです。まず、そこをわかってあげること、認めてあげる人が必要なんじゃないかなと思いました」

──一方で、2割いるという男性からは?

 「『自分たちも頑張っている』、『僕らもそれが言いたかった!』という声が多くありますね。僕自身もよくわかるのですが、パパたちは自分なりには頑張っているつもりなんです。でも、『仕事を頑張ることだけが自分の役割』だと思っている人がまだまだ多いというのが現状なんですよね。また、パパは仕事で家にいないことが多いから、育児の“いい部分”だけを見ていることが多い。でも実際、ママが1人で育児している日中はうまくいかないことばかり。僕は在宅だからこそその大変さを知ることができたので、それを発信して理解してもらいたいなと思っています」

■SNSで攻められ続けるパパ、「仕事で家族に貢献したい」という気持ちも無視しない

――そういった傾向からか、SNSやネットでは「家事や育児を何もしてくれない」「こんな旦那、いる必要ある?」など、ママがパパのダメさ加減を訴えるパターンが目立つ気がします。

 「そうですね。ただ、僕自身もパパでもありますし、パパを責めることはしないようにしています。一概に『こんなパパはダメだ』と言うのではなく、『仕事パパが育児で活かす7スキル』『パパが絶対してはいけない鉄則7選』など、パパ自身が取り入れやすい、具体的な内容を発信しています」

――石丸さんのインスタは、そういったところがママ・パパともに共感を呼びやすいと思います。ママの気持ちは大事にしながら、パパも虐げない。

 「いろいろ言われがちですが、パパだって仕事で家族に貢献したいと思っている人がほとんどです。その気持ちは見逃したくないし、無視してほしくはないですね。もちろん、パパにも家事・育児はやってほしいと思いますが、パパ自身も仕事のプレッシャーや、まだまだ育児に理解の低い会社の中で頑張っています。心の中では家族のために頑張りたいと思っていると思うので、それもわかってあげてほしいですね」

――形は違えど、お互い家族のためを考えているはずなのに、なぜここまですれ違ってしまうのでしょう?

 「本当に、世の中のママもパパも頑張りすぎていると僕は思っていて。ママが自分以外のために家事・育児を頑張るのは当たり前ではないし、パパが自分以外のために仕事を頑張るのも当たり前じゃない。日常の忙しさのせいで見えにくく、あえて気づかなくなっているんだと思います。本当は大事だと思っていること、尊重したい部分に気づくことで、本来の関係に戻れるんじゃないでしょうか」

――そのためには、どんなことが必要だと思いますか?

 「インスタでも、『時間がなくてコミュニケーションが取れないときこそ、一言目を“ありがとう”から始めてみよう』という話をよく書いています。最初にそう言えば、そこにつながる感謝したい事柄が出てくるんです。それは、ママにもパパにもできるし、言葉にすることで相手はもちろん、自分の心にも届きます」

――それはいいですね。でも、具体的に育児で何をやったらわからないパパはどうすれば?

 「育児は、やり方さえ理解して慣れればできるようになるし、まずは一緒にやっていこうと思うことが大切だと思います。あと、家族の状況にもよると思うんですが、パパが休みの日には子どもを連れて外出するのがいいのではないでしょうか。ママに『外出して好きなことやっておいでよ』と言うパパは多いと思うんですけど、外出してもママは何かと家族のための買い物をしたりして、のんびりできないことも多いと思うんです。それなら、パパが子どもを連れて外出して、ママが家で好きなことをできる自由な時間を作ってあげたほうがいいんじゃないかなと提案しています」

■「世の中の子育てを“つらいこと”から“幸せなこと”へと変えていきたい」

──インスタで発信してきた経験を生かして、今後やりたいことはありますか?

 「普段の家事・育児のつらさを理解してもらえず孤独になっている、“ママの心をラクにする本”の出版を実現したいと思っています。ずっとSNSだけで発信していましたが、やはりそれだけでは届かない方々も多い。実際に手元に本がある、医療機関や児童施設などに置いてもらうことで、コミュニケーションのきっかけになったり、周囲の方、地域の方にも理解してもらえると思うんです。社会制度や会社の仕組みを急に変えることは難しいですが、夫婦がお互いに理解し合えて協力し合える家庭を増やし、世の中の子育てを“つらいこと”から“幸せなこと”へと変えていきたい。本のほかにも、両親学級や講演などいろいろな形で、自分を必要としてくれている方の力になりたいと思っています」

――最後に、世のママ・パパへ伝えたいことは?

 「本当に、世の中のママもパパも、頑張りすぎていると思うのです。そんな方々に、お互いなるべく寄り添って欲しいと発信をしていますが、完璧になって欲しいとは思っていません。どんなママでもパパでもいいんです。いろんな悲しいニュースも多い時代なので、頑張っていてもいなくても、もしこれ以上頑張れないときがあっても、ただそこにいてくれるだけでいい。生きていてくれるそれだけで価値があると、僕は思っています」

(文:川上きくえ)

“だいしパパ”こと、石丸大志さんのインスタグラムより

無断転載・複製を禁じます