●「寒さ厳しくなる前に」
灯油の高騰が続く中、石川県内の自治体で低所得世帯などに暖房費を助成する動きが広がっている。全19市町のうち11市町が実施を決め、助成額は川北町が1万円、それ以外の10市町は5千円となる。灯油価格は前年比で4割高く、各市町は「寒さが厳しくなる前に」と支給を進め、家計の打撃を和らげたいとしている。
●白山も検討、価格上昇なら
助成を実施するのは小松、加賀、野々市、かほく、羽咋、珠洲の6市と津幡、内灘、志賀、宝達志水、川北の5町。白山市は現時点では実施しないが、さらに価格が上がった場合は検討する。
「これから冷え込み、暖房が必要な季節なのに、支給が遅れてしまったら本当に困っている人への支援にならない」。予備費を財源に、22日から支給を始めた羽咋市の岸博一市長は助成を速やかに届ける必要性を説く。
同市の場合、対象は市民税非課税世帯のうち、満75歳以上だけの世帯、重度の身体障害者がいる世帯、児童扶養手当を受給している世帯、生活保護世帯の計1113世帯。市内で使える商品券5千円分を今月末までに配る。
●18リットルで1868円
経済産業省が22日に発表した県内の灯油18リットル(一般的なタンク1個分)当たりの店頭価格は前週より30円安い1868円だった。2週連続で下落したものの、前年同期の1371円と比べると4割高い。
川北町は灯油価格が高騰した2007年、08年には灯油10リットルを購入できるチケットを11枚配布した。今回は1万円の助成を採用し、「前回と同程度の金額にした」(担当者)という。
支給方法は、羽咋市と珠洲市が商品券などの金券で支給する。小松、野々市、津幡、川北の4市町は対象世帯にレシートなどを添えて申請してもらい、後日、口座に振り込む方法を採る。宝達志水町は国が実施する生活困窮世帯への補助金に上乗せする。
穴水町は助成を実施していないが、10月に新型コロナ対策として、1万円で1万5千円分が利用できる町独自のプレミアム付商品券を販売しており、担当者は「商品券を灯油購入に活用してほしい」と呼び掛けている。