不漁で価格が高騰している加能ガニ=近江町市場

  ブランド化元年

 石川県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の漁解禁から1カ月で、今年設けられた最高級ブランド「輝(かがやき)」の水揚げが7匹にとどまることが8日、分かった。悪天候で出漁できない日が多いため、県漁協が漁期の来年3月20日までに見込む100匹のペースに遠く及ばず、キャッチフレーズ「本当に会えるのか?」の通り希少になっている。加能ガニ全体の水揚げ量が落ち込む中、店頭価格は高騰し、冬の味覚の目玉とする飲食店にも打撃を与えている。

 「輝」は漁解禁日の11月6日に蛸島漁港(珠洲市)で揚がった1匹が500万円の値を付けて以降、11月は8日に2匹、17日に3匹、19日に1匹が認定された。6万~50万円で競り落とされた。12月の認定は現時点でない。

 県底曳網漁業連合会によると、大きさや重さの基準をクリアするカニは多いが、色や傷など見た目の基準で届かないことが多い。認定はシーズンで100匹を想定するが、このままだと30匹台になる計算だ。

  認定基準も厳しく

 「輝」の数が少ないのは、厳しい認定基準に加え、加能ガニ全体の水揚げ量が少ないことも理由とみられる。

 県水産総合センター(能登町)のまとめでは、11月6~24日、県内の水揚げ量は雄の加能ガニが前年同期比25%減の44・0トンで、同時期で比べると2001年以降で最少だった。雌のコウバコガニは63・1トンで前年並みとなっている。

 しけで出漁できない日が多く、能登半島でトップの水揚げ量を誇る輪島港では今季、出漁日は11月が4日、12月は1日にとどまる。県底曳網漁業連合会の橋本勝寿会長は、「輝」のPR効果などで飲食店や旅館からの引き合いが高まっているとし、「需要があるのに漁に出る機会が少なくもどかしい」と話した。

  価格5割高

 店頭価格は高騰している。大口水産(金沢市)によると、加能ガニ、コウバコガニともに解禁日と比べて5割ほど高くなっている。今年は「輝」のデビューで客との話題に上ることもあり、荒木優専務は「同等のサイズがあるときは『輝より安い』と売り文句にしている」と語った。

 コロナが落ち着いて観光客が戻る中、金沢市長町1丁目の「味処髙﨑」では、大きめのサイズを仕入れて対応している。ただ、1キロ当たりの値段は5万円を超えており、髙﨑正剛店主は「だいぶ安く提供しているが、もう少し落ち着いてほしい」と嘆いた。

  ふるさと納税返礼品にも影響

 加能ガニをふるさと納税の返礼品とする自治体にも影響が出ている。かほく市では今年度、返礼品に加能ガニを選んだ寄付が250件寄せられているが、今月7日にカニへの寄付を中止した。担当者は「例年は年明けに多く発送している。寄付があった分は確保できると思う」と話した。

 ★輝(かがやき) 石川県漁協が認定する県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の最高級ブランド。▽重量1.5キロ以上▽甲羅幅14.5センチ以上▽全ての脚がそろっている▽甲羅が硬く、身入りが良い-などの基準がある。認定されたカニには、六角形の九谷焼と梅をかたどった水引飾りのタグが付けられる。

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