勇裕さんの遺影とともに開店を心待ちにする平田さん親子

トレーラーハウスを利用した完全個室制の平田理髪店=金沢市直江東1丁目

  ●長男経験重ね、母は資格取得

 美容師の平田一馬さん(28)と母のゆう子さん(52)が4日、金沢市直江東1丁目のトレーラーハウスで「平田理髪店」を開業する。一馬さんの父勇裕(ゆうひろ)さんは6年前に病気で亡くなるまで、理髪店「くらうん」(鳴和2丁目)の店主として常連客に慕われていた。「家族で床屋をしたい」「トレーラーハウスで旅行に行きたい」という勇裕さんの夢を残された家族がかなえる。

 勇裕さんは2007年に理髪店を開いた。その陽気な人柄を慕って利用する客も多く、「マスターはいつもにこにこしとるね」と店は笑顔であふれていた。

 15年8月、接客中に体調を崩した勇裕さんは病院に運ばれ、4日後、48歳の若さで亡くなった。兵庫で美容師の修業をしていた長男の一馬さんは帰省中で、金沢を離れた日だった。

 勇裕さんの死後、美容師として別の店で働いていたゆう子さんが店を再開したが、理容師免許が必要な「顔そり」ができなかったこともあり、1年ほどで店を閉めた。

 ゆう子さんは「床屋を絶対に再建する」との一心で昨年、理容師免許を取得した。一馬さんも県内の別の店で経験を積んでおり、再建の準備は整った。一馬さんは「3人で床屋をしたい」という父の言葉を思い出すとともに、物件を探す中、父が憧れていたトレーラーハウスに出合った。

 平田理髪店は完全個室で、理容、美容室として営業する。整髪のほか、マッサージやヘッドスパなどのメニューもそろえた。

 一馬さんは「場所は変わるが、地域に癒やしを届ける存在になりたい」と意気込んだ。ゆう子さんは「夫みたいに家族のように客に寄り添う存在でありたい」と話した。

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