コロナの感染が落ち着き、人が行き交う片町スクランブル交差点=25日午後7時半

 石川県内で新型コロナウイルスの感染が落ち着く中、金沢市片町で客引き行為が再び横行している。時短営業や休業の飲食店が増えた昨年以降、その姿はあまり見られなかったが、今月に入って多い日には数十人の黒スーツの男が街頭に立ち、客や店側とトラブルになるケースもある。自粛明けで「夜の片町」に客足が戻り始めており、県警は年末に向けて取り締まりを強化する。

 25日午後8時ごろ、片町スクランブル交差点周辺。あいにくの雨の中、行き交うサラリーマンらに黒スーツの男が声を掛けていた。「もう1軒、飲み屋やキャバクラはいかがっすか」。街頭の柱には「ここは客引等防止重点地域です」とのステッカーが貼られている。

 飲食店関係者によると、10月1日にまん延防止等重点措置が全面的に明け、片町は徐々に客足が戻っている。その客を取り込もうと客引き行為も増えており、数十人が立つ日もある。

 今年は1月に1人を摘発して以降なかったが、重点措置が明けた10月6日と今月15日にそれぞれ1人を県警が逮捕した。

 片町2丁目で飲食店を経営する40代男性は10月上旬、自分の店の前で常連客をしつこく誘う客引きの男と言い合いになった。

 「よく来てくれるお客さんに声を掛けていて腹が立った。しつこく付きまとうのは、客も店もいい気はしない」。男性は収まらない様子でそう話した。

 別の関係者によると、感染拡大以降、特定の店ではなく、複数の店を紹介する「フリー」の客引きが増えている。報酬は歩合制で1組当たり1500~2千円を受け取るとし、「コロナ前に比べるとまだまだだが、人通りが増えてきた今がチャンスだろう」とこの関係者は語る。

 2014年に施行された改正県迷惑防止条例は、キャバクラなどの客引きに加え、片町では路上での客待ち行為も禁じている。

 県警によると、客引き行為での摘発は、北陸新幹線が開業した2015年が30人、16年24人、17年33人、18年19人、19年16人と推移していたが、感染が拡大した20年は7人に減った。

 県警生活安全捜査課の担当者は「年末にかけてさらに人通りが増えることが予想され、取り締まりを強化する」と語った。

  ●「重点措置」解除後県内で刑法犯増

 まん延防止等重点措置が全面解除された10月の石川県内の刑法犯認知件数は、9月と比べて55件増の345件で、月別で今年最多だったことが県警への取材で分かった。10月の摘発件数も9月からほぼ倍増し、414件で最も多かった。外出する人が増え、街頭犯罪が増加したことが影響したとみられる。

 県警によると、県内の刑法犯認知件数は2015年から毎年、最少を更新しており、春以降に感染が広がった昨年1年間は3595件で最少だった。今年は1~10月で前年同期比170件減の2859件となっており、過去最少ペースで推移している。

 ★改正石川県迷惑防止条例 客引き行為の規制を強化するため、2014年6月施行。性風俗店やキャバクラなどの客引きを県内全域で禁止し、片町地区と金沢駅周辺では客待ち行為も禁じた。客引きの違反の罰則は従来の「罰金50万円以下」から「懲役6月または罰金50万円以下」に引き上げた。客待ちの違反では、警察官から再発防止命令を受けて翌日の日の出までに再び違反すると、20万円以下の罰金が科せられる。

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