干し柿の出来を確認する谷原さん=氷見市余川

 氷見市余川の農業谷原唯司さん(60)は、亡父から引き継いだ干し柿作りに励んでいる。3月に89歳で亡くなった母重子(あつこ)さんをしのび、世話になった市内老人施設に贈ることにしており、地域のお年寄りにも配る。「母の分まで味わってほしい」と、飴(あめ)色に仕上がる来月中旬を心待ちにしている。

 谷原さん宅では1990年ごろから、父の俊雄さんが趣味で干し柿を作り、友人や知人に配っていた。作業を手伝っていた唯司さんは、俊雄さんが2015年に亡くなった後も、干し柿作りを続けた。外の寒風にさらす乾燥と室内乾燥を繰り返して丁寧に渋味を抜き、糖分の粉を表面に吹き出させて仕上げる昔ながらの製法である。

 今年は畑に10本ある木から柿を約2千個収穫した。ただ、虫に食われる実が目立ち、出来は決してよくなかった。900個を厳選し、知人からもらった約300個を合わせ約1200個を干し柿にすることにした。

 重子さんは施設で3年6カ月暮らし、今年3月に亡くなった。晩年は干し柿をそのまま食べることはできなくなっていたが、ペーストにして口にしていた。

 唯司さんの記憶では、干し柿作りの細かい作業を担っていたのは、重子さんだった。俊雄さんを支えていた姿が印象に残っている。唯司さんは「たくさんの人に『おいしい』と言ってもらえれば、父も母も喜んでくれる」と話している。

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