「なりすまし」の観光サイトのトップページ。金閣寺など別の場所の写真が掲載されている

  著作権侵害の可能性

 「長町武家屋敷界隈(かいわい)を愛する会」(金沢市)の旧ホームページ(HP)を使って、「なりすまし」の観光サイトが作成されていることが22日、分かった。第三者が同じドメイン(インターネット上の住所)を取得し、開設したとみられ、オンラインカジノに移るリンクもあった。このサイトを巡る金銭的被害は確認されていないが、元サイトの素材を使っていた場合は著作権侵害に当たる可能性もある。

 サイトには、長町武家屋敷跡界隈や近江町市場が紹介され、一見、本物のように見える。しかし、金閣寺や清水寺など別の観光地の写真が使われているほか、「武家屋敷でギャンブル?」などの記載があり、リンクをクリックするとオンラインカジノへ移るページがあった。

 このサイトを確認したITジャーナリストの三上洋氏は「ある程度のアクセスがあるドメインを使い、別のサイトに誘導する狙いがあるようだ」と指摘した。

  違法性なし

 サイトを開設する際、使用中のドメインと同じものを使うことはできないが、閉鎖などで手放された後は第三者による取得が可能となる。三上氏によると、これは「ドロップキャッチ」と呼ばれ、違法性はないものの、元サイトの記事や画像などの使用は著作権侵害に当たる恐れもある。

 全国では、2016年に愛媛県新居浜市の旧HPのドメインが第三者に取得され、利用者がオンラインカジノに誘導されるようになっていた。大阪市や秋田県大館市のサイトが転用された例もある。

 旧サイトでは、金沢市長町の住民らでつくる「長町武家屋敷界隈を愛する会」が観光客向けにオリジナルの観光マップを掲載していた。観光案内所やホテルに配布している紙の「金沢・長町武家屋敷 散策まっぷ」を外国語に翻訳したもので、紙のマップにはサイトのQRコードを掲載している。

 旧サイトは北陸新幹線開業に合わせ、2015年から運営していたが、維持管理費などの問題から今年4月に閉鎖。その後、同じURLに「長町武家屋敷散策まっぷ」と題したサイトが確認された。愛する会は身に覚えがないという。

 市内各所で配布しているマップには現在もサイトのQRコードが印刷されており、手に取った人がなりすましのサイトを閲覧する可能性がある。青木誠治副会長は「新しい情報を盛り込んだマップを早めにつくり、正しい情報を伝えたい」と話した。

  管理者から返答なし

 北國新聞社が現在のサイトの管理者に問い合わせフォームを通じて取材を申し込んだところ、22日までに返答はなかった。

 ★ドメイン インターネット上の住所に当たる文字列。それぞれのドメインは、世界にただ一つで同じものは存在しない。国際的な非営利団体が「.jp」や「.com」など千種類以上あるドメインの末尾部分を管理している。その左側の文字列は各国の民間会社や団体が管理している。実在する会社名やサービス名と無関係に、好きな文字列を先着順で取得できるものが多い。

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