打者を打ち取り、笑顔を見せる奥川投手=京セラドーム

 日本一を決めるシリーズ開幕戦で、石川が生んだ20歳の剛腕がうなった。ヤクルトは3-4でサヨナラ負けを喫したが、奥川恭伸投手は侍ジャパンのエース・山本由伸投手との「伸」対決では、勝ち投手の権利を手にして「勝利」。故郷の友人に「優勝したい」と活躍を誓った通り、7回1失点と気合十分の投球を披露。「奥川時代」到来を予感させる一戦となった。

【本記 奥川堂々、日本S初登板】

 一つ大きく息を吐いてマウンドに向かい、いつものようにスパイクで足元をならした。わずかに笑みが浮かんだ顔には緊張の色もにじむ。先頭に安打を許したが、徐々にエンジンがかかり、山本投手と互角に渡り合った。

 「1軍で活躍できる選手」を目標に掲げ、プロ2年目を迎えた。レギュラーシーズンは、終わってみれば31歳の小川泰弘投手と並ぶチーム最多の9勝(4敗)。勝率と防御率は小川投手を上回り、投手陣の柱に成長した。

 今シーズン、一気にスター街道を駆け上がってきた。2軍暮らしとは違う忙しさの中でも、故郷や仲間を思う気持ちは変わらない。寮に戻れば、星稜高野球部時代の同級生と電話やメールでのやりとりが息抜きとなり、マウンドに上がる活力にもなっている。

 巨人とのクライマックスシリーズで、奥川投手から観戦チケットをプレゼントされた亜大2年の桜井直生さんは「野球選手としては、雲の上の存在になった」とたたえながら、「高校時代と同じで、偉ぶることもない」と明かす。金沢星稜大野球部2年の芳賀大樹さんには日本シリーズ直前に「緊張している」と漏らした一方、「優勝したい」と強い気持ちを吐露していた。

 山本投手が6回1失点で負け投手の可能性を残して降板したのに対し、奥川投手は1イニング長く投げて勝ち投手の権利を得た。サヨナラ負けで勝利は消えたが、地力を存分に発揮した。

 試合後、奥川投手は「日本シリーズの大事な初戦を任せていただいて、すごく緊張した。自分的には良い内容とは言えないが、中村さんのリードであったり野手の方の守備に助けてもらいながら七回までは投げることができました。村上さんのホームランにしびれました」とコメントした。

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