多くの仲買人が参加し、競りにかけられた「輝」=金沢市のかなざわ総合市場

 1匹500万円の輝きに市場が沸き返った。6日夜、金沢市のかなざわ総合市場で行われた石川県産ズワイガニ「加能ガニ」の初競りで、新ブランド「輝」が堂々デビューした。生きがよく、立派な甲羅と脚は最高級品と呼ぶにふさわしく、水揚げした漁師も「1年に一度獲(と)れるかどうかの大物」と太鼓判。新型コロナの感染が一服する中、関係者は加能ガニの魅力向上へ弾みがつくと期待した。

【本記 輝1号500万円】

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 各漁船厳選の1匹を出品する「蟹-1(かにわん)グランプリ」の大トリ、午後7時半すぎに始まった輝の競りには、大物を一目見ようと多くの仲買人らが集まり、市場はいつにも増して熱気を帯びた。

 「蟹-1」には計23匹が並んだが、輝に選ばれたカニはひときわ大きく、六角形の九谷焼と梅をかたどった水引飾りのタグが目を引いた。競りが始まると、価格はご祝儀相場も相まってぐんぐん上昇。異例の高値で落札されると、大歓声と拍手が起こった。

 輝の認定を受けたカニを獲った「第八丸一丸」の田喜知潔(まさる)船長(63)は「1年に一度獲れるかどうかの大物。漁の前に禁酒したかいがあった。今後もたくさん獲りたい」と喜んだ。

 第1号を落札した金沢湯涌温泉百楽荘の島田大輔料理長(44)は両手で輝を掲げ、「落札できて最高の気持ち。半端ない重さで手が震えている」と語った。「コロナ禍の中、全国の人に素晴らしいカニを知ってもらいたいと、思い切ってこの値を付けた」と明かした。当初の予算を100万円ほどオーバーしていた。

 「初日に輝が出なかったらどうしようとドキドキだった」。競りを見守った県漁協の福平伸一郎常務理事は安堵(あんど)した様子で語った。「本当に会えるのか?」と書かれたシャツを着た福平常務理事は「話題になるには解禁初日に出るのが大事。出会えてよかった」と笑顔だった。

 「輝」を除いた加能ガニの最高額は8万円だった。

  ●「輝、獲れずショック」 加賀橋立 最高額は80万円

 同じ時間に行われた加賀市の橋立漁港にある県漁協加賀支所での競りでは、「輝」に認定されたカニは出なかった。橋立の漁師からは「自分こそ1番いいカニを」との声が上がっていただけに関係者が悔やんだ。

 加賀支所の橋本勝寿運営委員長は「これだけのいいカニがいたのに、1匹もいなかったのはショックだ。少し脚が短いとか惜しいものもあった」と語った。

 ただ、加賀支所の競りでの最高額は昨年の35万円を大きく上回る80万円で、重さ1・59キロ、甲羅の幅15・2センチの大物だった。このカニを獲った「第十八薫勝丸」の辺本准船長は「輝にならなかったのは残念だが、まだ漁は始まったばかり。いずれ獲りたい」と意気込んだ。

 金沢駅金沢港口(西口)の複合施設「クロスゲート金沢」は7日、レストランの各店でコウバコガニを使ったメニューを提供するフェアを始める。カニ面のおでんや釜飯などこだわりの一皿を用意する。

  ●越前ガニ「極」80万円

 福井県越前町の越前漁港と坂井市の三国漁港では、越前ガニが初競りにかけられた。福井県が2015年からブランド化した「極(きわみ)」に該当するカニが2匹揚がり、うち1匹が過去最高額の80万円で落札された。極は昨季、水揚げした0・04%に当たる67匹が認定されている。

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