伝統の技が光る秀作群を鑑賞する来場者=金沢市の石川県立美術館

 第68回日本伝統工芸展金沢展(日本工芸会、北國新聞社など主催)は23日、金沢市の石川県立美術館で開幕し、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門・計316点が並んだ。地元の人間国宝9氏の作が円熟の美を放つ一方、気鋭作家の清新な感性が光る意欲作も目を引き、「工芸王国」の層の厚さをうかがわせた。

 日本伝統工芸展は、金沢出身の漆芸家・松田権六(ごんろく)氏(文化勲章受章者、蒔絵(まきえ)人間国宝)が中心となって1954(昭和29)年に始まった公募展で、戦後以降の工芸文化をリードしてきた。今展では県内から初入選5人を含む60人が入選、都道府県別の入選者数は4年連続でトップだった。

 高松宮記念賞に輝いた高田和司(かずもり)さん(人形、能美市)の「木芯桐塑(もくしんとうそ)和紙貼(わしばり)『蒼天(そうてん)』」は、鷹匠(たかじょう)の姿を細部まで作り込み、天高く舞うタカの雄姿や青空の広がりまで想像させる秀作となっている。

 NHK会長賞を受けた水口咲(さき)さん(漆芸、金沢市)の「乾漆箱(かんしつはこ)『新雪(しんせつ)』」は、降り積もったばかりの雪を思わせる自然な造形と美しい塗り肌が高い評価を受けた。県内在住の人間国宝9氏が手掛けた逸品も技の極致を示した。

 開会式では、日本工芸会の中田一於(かずお)常任理事(小松市)があいさつし、関係者がテープカットした。

 会期は11月3日まで。入場料は一般700円、大学生400円、65歳以上600円、高校生以下は無料。感染症への配慮から、今回も会期中の作品解説は行わない。

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