チェックインの手続きをする宿泊客。金沢市内では宿泊料が実質ゼロ円となるホテルが出ている=市内のホテル

  温泉地に対抗

 金沢市のホテルで「実質ゼロ円」で泊まれるプランが出始めた。石川県と市の旅行割を適用した後、ホテル側が客に対し、支払額と同じ金額分の食事券を渡す。宿泊客は県民旅行割のクーポン券も受け取れるため、「タダ泊まり」に加え、最大で2千円分の得をすることになる。旅行需要が回復傾向にある中、温泉地に対抗するプランとして売り込み、集客につなげる。

 「地元飲食店も恩恵を受けることができ、みんなが得をする。このタイミングで息を吹き返したい」。実質無料のプランを打ち出す金沢市下堤町のビジネスホテル「御宿野乃(おんやどのの)金沢」の担当者はこう力を込める。

 同ホテルでは県と市の旅行割を併用し、5千円の食事券が付いたプランを5千円で発売する。この場合、宿泊客は2千円分の県民割クーポン券を得られる。食事券は市内の飲食店26店で使うことができ、同ホテルは飲食店ともタイアップして低料金をアピールし、客を増やす。

 宿泊客にとって、さらにお得なプランを打ち出すのは、上堤町のホテル「トリフィートホテル&ポッド金沢百万石通」。このホテルでは県と市の割引を併用することで1泊1990円になる。宿泊客は、近江町市場内にある飲食店「近江町食堂」の食事券5千円分がもらえ、3010円分の恩恵を受けられる。

  食事券だけの客も

 木村太一支配人は宿泊せずに食事券だけ受け取って帰る客もいたといい、「内心は複雑だが、コロナ禍で経営が厳しい中、来てもらえるだけでもありがたい」と喜ぶ。

 ホテル金沢では、3千円の食事券が付く1万1600円のプランを3600円で発売する。担当者によると、ホテルレストランの食事が付いた通常プランよりも売れている。

 一方で、露骨な低料金に首をかしげるホテルもある。市内のホテル関係者は、宿泊日の当日ではなくても使える食事券があることを指摘し「いつでも使えるのなら、本来の目的である旅行での食事とは言えない。金券は予約客にお得感をアピールしやすいが、自分たちだけの利益を考えすぎではないか」と疑問を呈した。

 ★石川県民旅行割 県民限定で宿泊や日帰りの旅行料金を割り引く。宿泊料金は3千円以上6千円未満は2千円引き、6千円以上1万円未満は3千円引き、1万円以上2万円未満は5千円引き、2万円以上は1万円引きする。

 ★五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン 金沢市独自の旅行割引事業。市内での宿泊と、飲食や工芸体験を組み合わせた旅行プランを利用した県民を補助する。6千円以上1万円未満は3千円引き、1万円以上2万円未満は5千円引き、2万円以上は1万円引き。

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