白鵬(左奥)、紗代子夫人(左手前)と笑顔で記念撮影する炎鵬(中央)と両親=昨年2月、金沢市内のホテル

7月、大相撲名古屋場所千秋楽、照ノ富士を下し、45度目の優勝を果たした白鵬=名古屋市のドルフィンズアリーナ

  激励会に登場

 現役引退の意向を固めた横綱白鵬は、弟弟子である十両炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB)にとって、自身を角界に導いた大恩人だ。「横綱の背中をみて自分もここまできた」。現役最後となった名古屋場所で見せた勝利への執念は、今も炎鵬の目に焼き付く。今後は本格的に白鵬の指導を受け、炎鵬が土俵で恩返しする番だ。

【本記 横綱白鵬が引退へ】

 宮城野部屋には、白鵬が自らスカウトした「内弟子」と呼ばれる力士がいる。炎鵬もその一人。しこ名も白鵬が自らの一文字をとって命名し「体は小さいが、気持ちを燃やして戦う」との意味を込めた。昨年2月に金沢市内で開かれた炎鵬の石川県後援会の激励会では、白鵬がゲストで登場し、弟弟子への思いの強さをうかがわせた。

 関取最軽量ながら一時は番付を幕内上位まで上げるまでに成長できたのは、白鵬との過酷な稽古のたまものだ。白鵬が進退を懸けて臨んだ名古屋場所では、炎鵬自ら付け人を志願。満身創痍(そうい)でも土俵で白星を積み重ねる背中を一番近くで見てきた。ついに賜杯を手にした瞬間には、炎鵬の目も潤んでいた。

 献身的な炎鵬の支えに対し、白鵬は優勝後の会見で「心強かった。花道で支えてもらった」と感謝を口にしていた。白鵬は今後、部屋付きの親方として、炎鵬らの指導に専念する。炎鵬は感謝の思いを胸に、今年の締めくくりとなる九州場所での奮起を誓う。

  「さみしくなる」 炎鵬の母・由美子さん

 金沢市に住む炎鵬の母・中村由美子さん(60)は白鵬の引退について「炎鵬からも聞いてないので驚きました。炎鵬が早く番付を上がっていけたのも、横綱が大きな背中で引っ張ってくれたおかげ。さみしくなります」と語った。

 白鵬については「金沢巡業に来た時は、私たち家族も一緒に食事に誘ってくれた。いつも気さくで、気配りしてもらった。奥さんも心の温かい方で、炎鵬は部屋と人に恵まれた幸せ者です」と感謝した。

  県内ファン「お疲れさま」

 県民から長年の活躍をねぎらう声が聞かれた。本場所や金沢場所に何度も足を運び、親交があった「クラブ利恵」(金沢市片町1丁目)の上田利恵さんは、白鵬が「東京五輪が終わったら銀座の真ん中に自分の部屋を持ちたい」と数年前から話していたことを明かした。上田さんは「あんなに頑張ってこられたので、もう潮時だと思います。お疲れさまと声を掛けたい」とねぎらった。

 七尾市では、第54代横綱で2018年に死去した輪島大士さん(同市石崎町出身)ともに、道の駅「能登食祭市場」で開かれたトークショーに08~16年の間、計8回出演。村本能久駅長(48)は「赤ちゃんを抱っこしたり、子どものぶつかり稽古に応じたりとサービス精神にあふれ、優しい人柄が感じられた」と思い出を語った。

 白鵬は七尾を訪れた際は和倉温泉の加賀屋に宿泊することを楽しみにしていた。対応した藤森公二客室支配人(62)は一緒に卓球をしたことを振り返り、「これからも角界の発展のために頑張ってほしい」と期待を寄せた。

 15年6月に白鵬が訪問した小松特別支援学校の岡部康英校長(56)は「子どもたちと相撲やバスケットボールで交流してもらった。長年の活躍に敬意を表したい」と話した。

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