冊子の出来栄えを確認するメンバー=金沢市金石西1丁目

  港町の暮らし、知恵も伝え

 金沢市金石の食文化を受け継ぐため、まちづくり団体「かなラボ」は地域特有の料理をまとめた冊子を完成させた。「金石のかあちゃん」直伝のレシピなど、3年間で収集した約3千点から、6品を厳選して収録した。調理法にとどまらず、港町で生きる住民の暮らしぶりや、日常から編み出された知恵も詰め込み、金石に息づく風土を伝える。

 巻頭で紹介した「〝金石流〟煮魚」は魚を醤油のみで煮るというシンプルな味付け。短時間に強火で仕上げることで、甘味のある地元の醤油が新鮮な魚本来のおいしさを引き立てるという。北前船寄港地で栄えた歴史の名残として祭り料理に昆布をふんだんに使う習慣も紹介し、「イワシのすり身の昆布巻き」の作り方を載せた。

 小ぶりなカレイ「ゾロ」は刺身や塩漬け、一夜干しなど、試行錯誤して調理や保存することに触れ、「その積み重ねが彩り豊かな金石の食文化をつくり上げてきた」とつづった。

 聞き取りを進めてきたのは、かなラボメンバーで、真宗大谷派妙覚寺住職の寺尾賢右(けんゆう)さん(45)=金石新町=。漁師らの住宅で地元にいながら初めて味わう料理の数々に心引かれ、調査を始めた。

 「地域の宝」である食文化を次代の住民につなげようと、活動を「かないわレシピ」と銘打ち、講演会や調理動画の制作にも励んできた。寺尾さんは「まずは金石の食文化を象徴するメニューで独特の日常の景色を届けたい」と話す。

 冊子は、かなラボのメンバーのほか、地元商店などで販売する。金石町小児童の学習に活用する構想もある。代表の観田康宏さん(52)は「金石の自己紹介のような一冊になった。地域を見詰め直すきっかけになってほしい」と期待した。問い合わせは、かなラボ=kanalab@gmail.com=まで。

無断転載・複製を禁じます