イルカの御朱印を考案した多田権禰宜=珠洲市三崎町寺家の須須神社

海岸に姿を見せるイルカのすずちゃん=昨年8月、珠洲市三崎町(出村さん提供)

  特注のはんこ使用 2ページ分大判

 珠洲市三崎町寺家の須須(すず)神社は16日までに、神社で神の使いを務めているとするイルカを題材にした御朱印(ごしゅいん)を考案し、参拝者に授与し始めた。昨年から近くの海岸に姿を現しているイルカ「すずちゃん」をモデルにし、10色ほどを使い、鮮やかに仕上げた。須須神社は珠洲では古来よりイルカが神聖視されてきた伝承を知ってもらい、新たな地域の名物にもなるよう願いを込めている。

 イルカの御朱印は多田千鶴権禰宜(ごんねぎ)(41)が考え、11日の秋祭りから授与を開始した。神社に伝わる「いるかの三崎詣(まい)り」が題材で、すずちゃんの背に乗った神が寺家地区の秋祭りで町内を巡行するキリコを海から楽しげに見ている様子を描いた。

 特注のはんこを用い、イルカは水色、キリコは赤や金色などで表現した。御朱印帳の2ページ分を使う大判で、見た目も鮮やかにした。

 須須神社のイルカ伝説は江戸時代中期の歴史書「能登名跡志(めいせきし)」に登場する。神がある時、使者としていた獅子に「いるか」と呼び掛けたところ、勘違いして、いち早く応じたイルカを代わりに使者にするようになった。イルカは祭礼日に神社の近くに現れ、「いるかの三崎詣り」と言われるようになったという。

 すずちゃんは昨年8月から近くの沿岸などに姿を見せるようになり、イルカ伝説の周知に取り組む出村正幸さん(45)=三崎町寺家=らが愛称を付けた。出村さんは御朱印について「素晴らしい出来栄え。全国にもイルカファンがたくさんいると思うので、珠洲のことを知ってもらうきっかけになる」と話した。

 富山市から参拝に訪れ、イルカの御朱印を受けた浜井千春さん(52)は「こんなにカラフルなのは珍しい」と喜んだ。

 8月末には神社に珠洲市出身者から「須須神社御朱印」と書かれたのぼりの寄進を受けた。イルカの御朱印の初穂(はつほ)料は600円で、多田権禰宜は「若い人が伝説や神社を知る契機になればうれしい」と語った。猿女(さるめ)貞信宮司(82)は「神社の歴史の新たな1ページになると思う」と期待を込めた。

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