修復用の素材として制作が始まった福光麻布=南砺市福光

 南砺市上平地域の田下(たのした)自治会は、地元の少彦名(すくなひこな)社の祭礼で使うのぼり旗の補修に、同市福光地域伝統の「福光麻布(あさぬの)」を採用する。福光麻布は本格的な生産が途絶えたものの、有志の団体「越中福光麻布ギャラリー」が織機を復元して技術継承に取り組んでいる。同自治会が「のぼり旗を直すなら本物の素材で」と、補修用の布を織るようギャラリーに依頼し、制作が始まった。

 のぼり旗は年4回の祭礼で使用され、田下自治会は10月4日の秋季祭礼までに補修を終えたい考え。福光地域で1978(昭和53)年に機械で織られた品とみられる。ギャラリーが7日から、福光のゲストハウス絲(いと)に設置している織機2台を使い、長さ12メートル、幅0・35メートルの福光麻布を織っている。

 ギャラリーのメンバーである、きよべ呉服店(城端)の清部一夫代表(58)が田下自治会に福光麻布を紹介した。同自治会の中谷有秀会長(66)は「よいタイミングで福光麻布の復活に取り組んでいてくれた。先祖代々、守ってきた備品をしっかりと受け継ぎ、氏子の安寧を願いたい」と仕上がりに期待を寄せた。

 福光麻布は加賀藩の特産品だったが戦後、化学繊維の普及とともに需要が激減し、2000年に最後の問屋が閉店し、生産が途絶えている。ギャラリーは19、20年に「チャンカラ」と呼ばれる織機2台を復元し、見学や体験に活用してきた。

 修復用の布を織っている木村高穎(こうえい)さん(39)=大西=は「縦糸440本を使い、大変な作業になる。南砺の伝統として残る品に仕上げたい」と話した。

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