8月末で閉店する金澤ちとせ珈琲=金沢百番街

昭和60年代の菓子・喫茶「千登世」=金沢ステーションデパート

  コロナ下の集客難しく、8月末で閉店

 1954(昭和29)年に金沢駅地下の金沢ステーションデパートで開店した「金澤ちとせ珈琲(コーヒー)百番街店」が8月末で営業を終え、67年の歴史に幕を下ろす。新型コロナの感染拡大で集客が困難となる中、金沢百番街のテナント契約満了を機に閉店を決めた。昭和、平成、令和と、駅利用者に愛された地元の喫茶店が石川の玄関口から姿を消す。

 金澤ちとせ珈琲は終戦間もない1950年、金沢で当時少なかった甘味を提供する菓子・喫茶「千登世(ちとせ)」として香林坊で開業した。店舗を運営するバンボウの岩本貴之社長(53)の祖母である初枝さんが、闇市で仕入れた小豆をぜんざいにして振る舞い、客をもてなした。金沢で活躍した俳人小松砂丘も頻繁に足を運んだという。

 54年、金沢駅東口地下に金沢ステーションデパートが開業したのに合わせ、2号店をオープン。経済成長から石油ショック、国鉄民営化など、変遷する時代の中で、通勤通学や旅行で金沢駅を行き交う人たちに憩いのコーヒーを提供し続けた。店は1991(平成3)年の百番街完成を機に現在の場所に移り、「百番街店」と名前を変えた。

  売り上げ7割減

 百番街店は観光客や出張のサラリーマンを中心に売り上げを伸ばし、2015年に北陸新幹線が開業してからは曜日に関わらず繁盛した。しかし、コロナ感染拡大後、客足は遠のき、売り上げは7割減まで落ち込んだ。金沢駅構内や周辺に大手チェーン店が増えたことも響いた。

 岩本さんによると、かつて金沢ステーションデパートで10店舗以上が軒を連ねた飲食店のうち、今も百番街に店が残っているのは三つ。「駅は集客力がある分、大きなコストがのしかかる。店を残すだけでもしんどい」と岩本さんは語る。

 金澤ちとせ珈琲は「国際コーヒーの日」である10月1日に長坂台で新店舗を開店し、香林坊店(香林坊アトリオ内)との2店舗体制となる。豆の販売や喫茶営業のほか、セミナーや焙煎(ばいせん)体験など、コーヒーを横断的に楽しめる店として新たなスタートを切る。

 岩本社長は「金沢駅は店も自分も思い出が深い場所。閉店はやはりさみしい思いもある」と話した。

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