厨房で腕を振るう高輪さん=小松市土居原町

清ちゃんの閉店を惜しんで店に並ぶ客

  90歳店主高輪さん「体力の限界」

 小松を代表するご当地グルメ「塩焼きそば」発祥の店として知られる小松市土居原町の中華料理店「餃子(ギョーザ)菜館 清(せい)ちゃん」が29日に閉店することが19日、分かった。北陸の中華料理店の草分けとされ、多くの人の胃袋をつかんできたが、店主の高輪清(たかなわきよし)さん(90)が高齢となったため。創業から65年を迎え、高輪さんは「さすがに体力の限界。ここまで続けることができて、お客さんに感謝や」と最後の日まで料理を作り続ける。

 清ちゃんは1956(昭和31)年、高輪さんが24歳の頃、ギョーザと焼き鳥を出す屋台を土居原町に構えたのが始まり。高輪さんによると当時、北陸に中華料理店はなく、随分と珍しがられた。「餃子の『餃』を『鮫(さめ)』と間違われ、『サメコ』と呼ばれたこともあったな」と振り返る。

 59年に念願の店を出したのをきっかけに提供を始めたのが、太めのストレート麺とモヤシやニンジンなどの野菜を炒めて塩で味付けした塩焼きそばだ。

 高輪さんは小松で屋台を始める前、東京で仕事を探していたころに中華料理店で食べたチャーメン(炒めそば)のおいしさに感動。「無給でいいから使ってくれ」とその店に頼み込み、料理修業を始めた。

 その後、独自に改良し、塩焼きそばが生まれた。今では高輪さんの下で修行した料理人が市内各店で提供し、小松のソウルフードとして愛されている。

 近年は高輪さんの体力を考慮し、定休日を週1回から2回に増やしたり、夜の営業時間を短縮したりしてきたが、今年2月に高輪さんの片腕として27年間勤務した料理人が高齢により退職したため、閉店を決断した。

 19日、清ちゃんに食事に訪れた小松市八幡の会社員御澤俊明さん(64)は、「中学生のころから小遣いをためて塩焼きそばを食べに来ていたので、さびしいね」と残念がった。

 高輪さんとともに家族で店を切り盛りしてきた妻の外美子さん(72)は「本当は2月でやめようと思ったけど、ここまでよく頑張ったと思う」と夫をねぎらった。高輪さんは「骨の髄まで疲れた。自分で自分を褒めたいね」と満足そうに笑顔を浮かべた。

  「今までありがとう」弟の正勝さん

 高輪さんから料理を学び、同じ町内で「餃子菜館 勝(かっ)ちゃん」を営む弟の正勝さん(85)は「今の自分があるのは兄貴のおかげ。間近で苦労も見てきたし、なんでやめるんやって気持ちはあるけど、今までありがとうって思いや」と語った。

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