M6級に注意促す 小規模、本震見られず

 珠洲市正院町で11日、地震が相次いで起き、奥能登を震源とする地震は今年に入って12回となった。能登半島地震以降の年間最多を更新した。専門家は、大地震の予兆とは考えにくいものの「当面は群発型の揺れが続く」とみており、将来的に周辺でマグニチュード(M)6級の揺れが起きる恐れがあるとして、注意を呼び掛けている。

 珠洲市、能登町内を震源地とする震度1以上の地震は、能登半島地震のあった2007年以降は19年の7回が年間最多だったが、今年はすでに1、3月に各1回、5月に3回、6月に4回、7月に3回と、半年余りで記録を塗り替えた。

 起きているのはM2・8~4・0の比較的小規模な揺れで、金大地球社会基盤学系の平松良浩教授(地震学)は「本震の見られない群発型であり、だらだらと活動が続く可能性がある」と指摘する。

 平松教授によると、地殻変動のデータから、珠洲市飯田町周辺の地下10数キロの深い場所を中心に何らかの動きがあり、奥能登で地震活動が活発化していると考えられる。一連の地震は18年5月ごろを起点に続く動きで、能登半島地震とは直接関係がないという。

 一方で、震源地が珠洲市飯田町、その西側の山間部、北側の外浦に面した高屋町周辺の3地域におおむね固まっていることから「3つの塊が断層面を示しているとすると、断層の長さはそれぞれ5~6キロ。M6からM6後半の揺れを起こす可能性はある」との見方を示した。

 富大の竹内章名誉教授(地質学)は近年、日本列島全体で地震活動が活発な傾向があり、「奥能登でも、しばらくはこの状態が続くだろう」と推測する。

 竹内名誉教授は、群発的な揺れにより、大きな地震を起こす活断層のエネルギーが「少しずつ吐き出されているイメージ」とし、揺れが頻発している地域で近く大地震が起きる可能性は大きくないと分析した。

 ただ、奥能登周辺では過去にM5~6級の地震が何度かあり、同程度の揺れが再び起きる可能性はあるとし、「今、揺れが起きていない場所のほうがむしろ活断層のエネルギーがたまり、リスクが高いのではないか」と話した。

  地元住民「怖い」

 地震が相次ぐ中、強い揺れに見舞われた地元住民は不安を募らせた。珠洲市正院町の村元酒店の村元美智子さん(73)は「地震が続いて怖い」と心配そうに漏らし、同町の時計店「正直屋」を営む佐野幸雄さん(81)は「腰に持病があり、歩き続けるのがつらい。何かあった時のことを思うと心配だ」と話した。

  知事「心配している」

 能登地方で地震が頻発していることについて、谷本正憲知事は11日、「散発的なものならいいが、能登半島地震のような大規模な地震の予兆かもしれないと心配している」と述べ、関係部局や専門家から情報を収集する考えを示した。県庁で報道陣に答えた。

 マグニチュード 地震の規模を示す尺度。値が1大きくなるとエネルギーは約32倍、2大きくなると約1千倍になる。複数の計算法があり、最近は震源断層のずれの量から計算する「モーメントマグニチュード」が使われるようになっている。地震を引き起こした断層の大きさを知る目安ともなる。

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