開店に向け準備を進める和田さん

昭和の面影がある「やきとり横丁」=金沢市木倉町

  和田さん「未来に残る場所に」

 昭和の長屋の面影を残す金沢市木倉町の「やきとり横丁」で17日、18年ぶりに焼き鳥専門店が復活する。1963(昭和38)年にできた横丁は、焼き鳥店が中心だったが、店主が入れ替わり現在の9店は別の業態の飲食店となっている。新店「卍郎(まんじろう)」を出店する和田知晃さん(41)は「未来に残る場所にしたい」と意気込んでいる。

 やきとり横丁は木倉町広場隣の木造2階建て長屋の1階を占める。狭い通路を挟む12区画に、日本料理店や居酒屋、バーなどが入る。各店の広さはわずか10平方メートル程度。いずれの店もカウンター席で、客が6、7人も入れば満席となる。

 木倉町で長年不動産業を営んでいた木倉町商店街元会長の南光裕さん(76)によると、やきとり横丁は大神宮(香林坊)や神明宮(野町)などの境内で飲食業をしていた店主が合同で出資し、前回東京五輪の前年に建てた。土地、建物は区分所有で店はオーナーから借りたり、買い上げたりして営業している。

 現在の9店の中で最古参となるワインバー「ひげの店」の髭(ひげ)与志博店主(60)によると、開業した2000(平成12)年当時、焼き鳥店「みきやん」のほか、居酒屋や小料理屋、スナックなど多様な店が入っていた。03年、みきやんが片町2丁目へ移転して以来、焼き鳥専門店は姿を消していた。髭さんは「横丁に入る店は共同体。仲良く元気よく営業し、昔ながらの雰囲気を守りたい」と話す。

 和田さんは、焼き鳥店「鳥珍(ちょうちん)や」を展開するゼロスター(金沢市)の社長を務め、やきとり横丁で店を構える知人の紹介で出店を決めた。屋台文化に憧れがあり、昭和の面影がある雰囲気に引かれたという。コロナ禍で飲食業界が大きな打撃を受ける中、店舗面積が狭く、家賃や人件費を低く抑えられる点も決め手の一つとなった。営業日は木~土曜で午後6時に開店する。

 昭和の高度経済成長、平成にかけてのバブル経済、その後のリーマン・ショック。景気の浮き沈みの中、安価で楽しめるやきとり横丁は半世紀以上、金沢のサラリーマンや常連客に愛されてきた。和田さんは「横丁は一度入ったら、はまる魅力がある。20年間追い求めてきた味で勝負したい」と語った。

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