大口輸出が決まった稲積梅の梅酒=氷見市稲積

  従来比5倍、コロナ低迷から一転

 氷見市特産「稲積梅(いなづみうめ)」の加工品である梅酒の輸出が今年、大幅に拡大する見通しとなった。生産者でつくる農業生産法人「氷見稲積梅株式会社」(同市)が16日までに、愛知県の商社と大口契約を結んだ。主に香港とマカオに約5千本出荷する内容で、従来の年間輸出量の約5倍に当たる。新型コロナウイルスの影響で9割減に落ち込んでいた海外販売で、産地のブランド力向上が期待される。

  農林中金が仲介

 氷見稲積梅と契約したのは、中国や台湾、香港などとの間で食品や飲料の輸出入を行う「ジェイアンドシー」(愛知県豊橋市)。農林中央金庫の富山支店と名古屋支店が仲介した。

 梅酒は2011年に販売を開始した「氷見稲積梅 梅酒原酒」(720ミリリットル)で、白山市の酒造会社が稲積梅と白山の伏流水で醸造している。過去10年間の累計販売は約2万本で、ここ数年は国内と海外で毎年1千本ずつ出荷していた。輸出は中国の上海や南京、台湾、シンガポール、マレーシアなどで実績があったが、香港とマカオに本格輸出するのは初めて。

 稲積梅の梅酒は、ふるさと納税の返礼品としての需要が堅調で、コロナ下でも国内販売は微減にとどまっている。一方で、輸出の低迷は響き、在庫が約8千本となり、悩みの種になっていた。農林中金にはコロナの影響が出てきた昨年秋ごろから相談。今回の大口契約を受け、来年以降の販売も視野に、今年は8千本を生産することを決めた。

 氷見稲積梅は、氷見市内の梅農家でつくる特産氷見稲積梅生産組合の加工部門が独立し、2011年に設立。梅干しや青梅のほか、ドレッシング、ドリンク、くずきりなどの加工品を扱う。組合は作付面積を徐々に拡大し、約7ヘクタールに梅林約4千本を抱える。年間出荷量は30トン前後となっている。

 西塚信司社長は「多くの産地の中から、氷見の梅酒が認められてうれしい。生産者のやる気にもつながる」と話した。

 ★稲積梅 富山県固定種の梅で1949(昭和24)年に富山県指定品種となった。肉厚で種の小さいことが特長。寒さに強く、ほかの品種に比べて農薬散布の回数が少なくて済むとされる。

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