重富さん(右)とともに歩く九曜さん=富山市内

 視覚と聴覚に障害がある盲ろう者の九曜弘次郎さん(46)=富山市稲荷町=は「障害があっても、希望を持って前向きに挑戦できることを示したい」との思いを胸にトーチキスに臨む。

 生まれつき目が見えず、15歳の頃から少しずつ聴力も低下していった。授業で教諭の声が聞き取りづらくなり、マッサージ業に従事した際には客との会話に支障が出だした。「この先どうやって生きていったらいいのか。絶望的な気持ちだった」と当時を思い返す。

 ただ、富山県内で自分だけだと思っていた盲ろう者が他にも数多くいると知ったことで前を向けた。2009年に富山盲ろう者友の会を設立して県内外の仲間や支援者と交流を深め、18年から視覚障害者向けの「ブラインド伴走会富山」の練習会にも参加。ランナーの応募は盲ろう者への理解を広げたいとの思いもあった。

 金属バットをトーチに見立ててリレーの練習を重ねてきただけに、走る機会がなくなったことを残念がる。当日は伴走者を務める予定だった重富千恵子さん(71)がトーチキスのサポートを担い「聖火をつなげるよう、九曜さんをしっかりと支えたい」と話す。

 手触りで多くの情報を得る盲ろう者にとって、非接触が求められるコロナ禍は不便を感じることが多い。

 九曜さんは本番に向け「新型コロナが早く終息し、平穏な生活に戻れるよう願いを込めたい」と語った。

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