当時の資料に目を通し観光ガイドの準備を進める松島さん=立山町榎

  開業初日「行列途切れず」

 立山黒部アルペンルートの全線開業から50周年を迎える6月1日、立山黒部貫光(富山市)の元室堂営業所長の松島武さん(82)=立山町榎=が室堂ターミナルで観光ガイドを務める。長年続けたガイドを2年前に引退したが、「当時はすごい人出だった。節目の日を立山で過ごしたい」と一日限定の復帰を決意。全線開業前の準備段階から27年間勤務した思い出話を添え、愛する立山の魅力を語り継ぐ。

 立山黒部アルペンルートは北アルプスを貫き、富山と長野を結ぶ山岳観光ルートで、1971(昭和46)年に全線開業した。室堂営業所はルート内の黒部ケーブルカー(黒部湖―黒部平)、立山ロープウエー(黒部平―大観峰)、立山トンネルトロリーバス(大観峰―室堂)の運行管理や保守点検を担当する。

 松島さんは富山地方鉄道(富山市)の車両整備士として働いていたが、69年に室堂営業所に出向、定年退職する96年まで勤務した。

 全線開業初日はロープウエーの運転士を務めた。大勢の人が訪れて行列が途切れなかったといい、「運転には慣れていたが、緊張した。トラブルなく一日を終えられてほっとしたのを覚えている」と振り返る。

 退職後も「立山に関わり続けたい」との思いから、立山町の観光ボランティア団体「立山りんどう会」に加入。約20年間ガイドを務めていたが、高齢のため2019年に引退した。

 一日限りの復帰を決めた理由について、松島さんは「アルペンルートの全線開業に携われたことは人生の誇り。節目の日なら、当時に関心を持つ人も来るかもしれない」と説明した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で立山りんどう会は活動を自粛するため、6月1日は松島さんが個人としてガイドを行う。ワクチン接種を済ませ、ガイドは午後のみとするなど感染防止策を徹底する。

 黄色のジャンパーが目印で、室堂ターミナル内の案内所で質問に応じる。アルペンルートを歌った自作の相撲甚句も用意している。周囲の状況を考慮した上で、披露したい考えだ。

 松島さんは1990年に室堂営業所長に就き、94年から始まった「雪の大谷」についても企画段階から相談を受け携わった。

 もともと登山に興味はなかったが、立山で過ごすうちに満天の星やかれんな高山植物の魅力にひかれた。国内外から大勢の観光客が訪れるアルペンルートを支える仕事を誇りに思うようになったという。松島さんは「次の50年も富山を代表する観光地であってほしい」と願いを込めた。

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