相談に応じるソーシャルワーカー=金沢市内の病院

 石川県内の病院で、医療費の支払いが難しい状況でも必要な医療を受けられる「無料低額診療」の利用者が増えている。新型コロナ感染拡大前と比べ、職を失った人や収入が減った若年層の利用が目立つ。長引くコロナ禍の中、経済的な事情で受診を控える人がさらに多くなるとみて、関係機関が周知を進めている。

 無料低額診療は社会福祉法に基づく事業で、低所得者や要保護者、ホームレス、DV(ドメスティックバイオレンス)被害者が対象となり、各医療機関の基準によって費用を減免する。県内では13の病院や診療所で実施し、無料低額介護老人保健施設利用事業は4施設が対応している。

 県内の病院によると、コロナによる収入減を理由にホテル清掃業の30代女性や、飲食店の派遣社員である50代男性が無料低額診療を利用した。「長期で休むと仕事を辞めさせられるのではないか」と心配し、入院を拒んでいたサービス業の50代男性や、製造業の正社員でけがを機に退職を余儀なくされた40代男性もいたという。

 県済生会金沢病院(金沢市)は昨年度、入院と外来患者を含め1万5422件の利用があった。コロナの影響で患者の全体数が減る中、19年度から289件増となり、生活保護受給者による受診は13%増えた。

 城北病院・診療所(同)は申請件数が年々増加傾向にあり、20年度は20~40代が3割を占めた。自営業者のほか、社会福祉協議会などからの紹介が増えた。

  前年度比4割増

 金沢聖霊総合病院(同)は昨年度、入院と外来の計628件の利用があり、19年度から4割増えた。認知度を高めるため、窓口となるソーシャルワーカーが近隣地域の民生委員に説明する機会を設けている。宮森弘年院長は「制度そのものを知らない人が多い。適切な医療が受けられるよう、診療をためらっている人がいたら相談してほしい」と話した。

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