猿女宮司(右)からイルカ伝説を聞く出村さん=珠洲市三崎町寺家の須須神社

 珠洲市三崎町寺家の寄り道パーキング寺家は8月に寺家の海に現れ、海水浴客らを楽しませたイルカの「すずちゃん」を題材にした絵本づくりに乗り出した。須須(すず)神社のイルカ伝説など寺家に伝わる伝承をベースに、珠洲に現れたイルカが活躍する物語を創作して小冊子に仕上げる。観光客に寺家を「イルカ伝説のまち」として発信し、地元の住民が地域の昔話に親しんでもらうきっかけにしたい考えだ。

 寄り道パーキング寺家によると、寺家地区の海岸で8月2日ごろからイルカ1頭が姿を見せた。14~16日には海水浴客に近寄って一緒に遊ぶ光景が見られ、県内外から多くの見物客が訪れた。同施設ではイルカに「すずちゃん」と愛称を付けてポストカードを作り、ホームページで動画などの情報発信をしていたが、20日を最後に寺家では姿が見られなくなった。

 その後、23日に輪島市町野町の曽々木海岸、30日に珠洲市清水町の砂浜付近など、奥能登各地で複数のイルカ目撃情報があるが、すずちゃんと同じ個体かどうかは分かっていない。

 施設にはすずちゃんが姿を見せなくなった後も観光客が訪れ、9月に入っても店員に行方を尋ねる例が後を絶たない。施設では依然として高い人気があることに着目し、すずちゃんに地域の「PR大使」として活躍してもらうことにした。

●地元では「神の使い」

 須須神社では古来よりイルカが神の使いとされ、住民から神聖視されてきた。例年9月に行われる秋祭りの際や祝い事があった時には、イルカが神社前の海岸に姿を見せるという「三崎のいるか詣(まい)り」などの伝説が残っている。創作した物語は10月3日に珠洲市民図書館で開かれる「ささやかな朗読会」で発表し、同月内に冊子にする。

 6日には絵本づくりを企画した出村正幸さんが、須須神社の猿女(さるめ)貞信宮司から神社のイルカ伝説について解説を受けた。出村さんは「秋祭りのキリコ巡行が中止となる中で、すずちゃんが地域に元気をくれた。その人気にあやかり、寺家を盛り上げたい」と語った。

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