移築工事が完了した室木家住宅主屋=七尾市中島町浜田

完成を祝う関係者

 七尾市中島町を流れる熊木川の改修に伴い、移転が必要になった国登録有形文化財「室木家住宅主屋(しゅおく)」の移築工事が2年半がかりで完了した。解体後に111年前の建築時の部材、工法で約250メートル離れた場所に引っ越しさせる珍しい試みで、門の石垣の組み方から引き戸の音まで再現された。8日に竣工(しゅんこう)式が行われ、関係者が移転前と同じ姿でよみがえった「地域のシンボル」に目を細めた。

  ●2年半がかりで

 県による熊木川の川幅拡張工事で、対象地域に建物が含まれていたことから、2021年6月に工事を始め、熊木川沿いにあった建物を解体した。移築では柱や梁(はり)などの部材はそのまま生かし、約1万3千枚の瓦を使った屋根やしっくい塀も再現した。塀の石垣には松竹梅や家紋などが刻まれた。

 1912(大正元)年築の室木家住宅主屋は2階建ての瓦ぶきで、建物面積は455平方メートル。切り妻造りの近代和風住宅で、南が土間、北は床上部に部屋が並ぶ。柱や梁はケヤキなど良質な木材が使われ、2005年に国登録有形文化財となった。

 工事を管理した髙屋設計(金沢市)の髙屋利行代表によると、歴史的建造物を移転する場合、建物を解体せずにレールを敷いて動かす曳家(ひきや)工法が多い。ただ、規模が大きい室木家住宅は難度の高い解体移築を採用することになり、「高度な職人技がなければ再現できなかった」と振り返った。

 当初は今夏の移転終了を見込んだが、忠実に再現するために作業期間が延びた。竣工式には工事関係者ら約50人が出席し、建物を所有する室木歯科口腔(こうくう)外科医院の室木俊美理事長・院長(67)は「玄関の引き戸の『カラ、カラ、カラ』という音も再現されて驚いた。後世に引き継ぎたい」と意欲を語った。

 見学に訪れる住民の姿もあり、近くに住む70代女性は「元通りに再現されているのですごい」と話した。

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