衆院予算委員会に臨む岸田文雄首相(中央)=22日、国会内

  ●極めて軽率

 (東京五輪の招致活動で機密費を使って贈答品を渡したという)馳浩知事の発言は軽率も軽率、極めて軽率です。知ったかぶりをして言ったんでしょう。すぐに全て撤回したのはよかったですがね。

 だいたい馳さんは、スポーツだとか五輪だとか得意分野で調子に乗りすぎるところがあります。「俺はこんなこともしてきたんだ」と誇示したかったのでしょう。私に言わせれば、幼いというか、いまだに学生気分、選手気分が抜けていない、かわいらしさがあります。

 ただ、相手との面会や交渉の内容をしゃべり過ぎたり、ブログに載せたりすると、せっかく良好な関係を築いた富山や福井の知事からも警戒されかねません。大知事を目指すのなら、言動だけで注目を集めるのでなく、広い視野に立った政策で「なるほど」とうならせないといけません。

  ●亀井氏が画策

 目下、岸田内閣の支持率が下がっています。高市(早苗経済安全保障担当相)さんが勉強会を始めるなどいろんな動きが出てきましたが、高市さんは内閣の一員なんだから今は助けてあげるべきではないでしょうか。こんな時こそ、自民党は踏ん張って岸田(文雄)総理を支えないといけません。

 この前、亀井(静香)さんから電話があって「いっぺん集まらないか」と言うんです。私は「足が悪いから無理だ」と断りました。小泉(純一郎)さんや山崎(拓)さんにも声を掛けているようで、何かを画策しているんですよ。だからと言って党内で「これは大変だ」とはなりません。「年寄り連中が何を考えてんだ」と言われるだけですよ。総理があっぷあっぷで溺れそうになっているところを頭の上から押さえつけることないでしょう。みんな自民党の仲間じゃないですか。

 麻生(太郎)さんはどこまで本気で岸田さんを支えるつもりか分からないし、茂木(敏充)幹事長も自分からは仕掛けられなくても次にやりたくてしょうがない。

 だから今こそ、清和政策研究会(安倍派)が岸田さんをしっかり支えないといけない。

 岸田さんを総理に、という原点は安倍(晋三)さんの意向です。岸田さんもわが派に配慮してくれているじゃないですか。幹部の「5人衆」は今もいいポストに収まっていますし、初入閣もちゃんと2人起用してくれた。それなのに、ピンチになったら急に手のひらを返すようなまねをしてはいけません。この苦難をともに乗り切る覚悟が必要です。それが安倍さんの遺志でもあると思いますよ。

 近々また5人が集まるようです。5人には「次の選挙までには決めろ」と言っていますが、会長が決まりそうな雰囲気はありません。いつまでもグチグチ言ってないで、西村(康稔)さんなのか萩生田(光一)さんなのか早く誰かが覚悟と責任を示すべきです。減ったとはいえ99人の議員を抱えている大派閥なんですから。

 このままだと結局、私がわざと会長を決めるのを先延ばししているんじゃないかと邪推されるんです。会長不在の方が森は影響力を発揮しやすいだろう、などと思われるのは大変心外です。

 福田達夫(元総務会長)さんは「リーダーが必要だ」と現在の集団指導体制に異を唱えました。若手らしい正論です。佐々木(紀衆院議員)さんと同じ4期でしょ。こういうことを、本当は佐々木さんに言ってほしいのです。

  ●「しっかり頑張ります」

 岸田さんには「自分が辞めたら誰がやるんだ、そういう気概でやりなさい」と励ましました。「しっかり頑張ります」と言っていましたよ。幸い、最近も岸田さんの表情は明るい。歩いている姿も下を向いていないし、堂々としたものです。大変な時期でも、そういう姿勢は実にいい。

 私が多少心配しているのは、岸田さんは人が良すぎることなんです。宏池会(現岸田派)は伝統的に大蔵省に近いですが、岸田内閣も財務省のペースに乗せられている。最近は外務省の言いなりにもなって、バイデン米大統領に高い買い物をさせられている。軍事的圧力を増す中国とどう対峙するかを考えた時、ロシアとの関係はどうあるべきなのか。日本の安全保障をしっかり見据えて戦略的に対応すべきだと思います。

 内閣支持率が20%台になると騒がしくなりますが、私が総理の時は一切無視しました。小渕(恵三)さんの後を救援した私は「やれるところまでやったら、いつでもやめてやる」と思っていましたから。

 年内の衆院解散は見送りという報道が出ましたが、まだ分かりませんよ。岸田さん本人は何も言ってませんからね。党内をあっと言わせるために、解散に持ち込む可能性はまだありますよ。

 今の状況をがらっと変えるために、一度思い切ってやってもいいんじゃないですか。私も内閣支持率20%台で解散に踏み切りましたが、負けませんでしたよ。(談)

 この連載は今回で終了します。

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