雌(めす)のシャープゲンゴロウモドキ。上翅(じょうし)に縦(たて)の溝(みぞ)が入っている=白山市(はくさんし)の石川県(いしかわけん)ふれあい昆虫館(こんちゅうかん)

雄のシャープゲンゴロウモドキ(成虫)

羽化したばかりのシャープゲンゴロウモドキの成虫

シャープゲンゴロウモドキの幼虫

 以前(いぜん)、石川県(いしかわけん)ふれあい昆虫館(こんちゅうかん)の珍(めずら)しい生きものとして、「マルコガタノゲンゴロウ」を紹介(しょうかい)したが、今回は「シャープゲンゴロウモドキ」を取(と)り上(あ)げよう。

 もどきとは、「似(に)せて作ったもの」「まがいもの」などの意味(いみ)がある。シャープゲンゴロウモドキは別(べつ)の昆虫(こんちゅう)なのかというとそうではない。ちゃんとゲンゴロウ科に分類(ぶんるい)される仲間(なかま)だ。

 では特徴(とくちょう)を紹介(しょうかい)しよう。昆虫館(こんちゅうかん)の渡部晃平学芸員(わたなべこうへいがくげいいん)によると、大きさは2・8~3・3センチ。頭部(とうぶ)にはV字の模様(もよう)がある。背側(せがわ)の「上翅(じょうし)」は雄(おす)と雌(めす)では異(こと)なっていて、雌(めす)は縦(たて)の溝(みぞ)があるんだ。

 昆虫館(こんちゅうかん)では約(やく)70匹を飼育(しいく)し、1階(かい)の昆虫(こんちゅう)ウオッチングコーナーで1年を通して観賞(かんしょう)できる。飼育(しいく)している幼虫(ようちゅう)は養殖(ようしょく)の餌(えさ)を食べている。野生のシャープゲンゴロウモドキが食べるオタマジャクシは与(あた)えていない。

 国内では関東地方(かんとうちほう)や、北陸(ほくりく)から中国地方(ちゅうごくちほう)にかけて分布(ぶんぷ)し、石川県内(いしかわけんない)では金沢(かなざわ)から奥能登(おくのと)の平野部(へいやぶ)や丘陵地(きゅうりょうち)に生息(せいそく)している。

 何だかたくさんいそうだが、1962(昭和(しょうわ)37)年に石川県(いしかわけん)の記録(きろく)を最後(さいご)に一度(いちど)絶滅(ぜつめつ)したと考えられていた。84年に千葉県(ちばけん)で再発見(さいはっけん)されたが、近年は全国的(ぜんこくてき)に生息地(せいそくち)、個体数(こたいすう)ともに減(へ)り、石川県(いしかわけん)と国両方(くにりょうほう)で絶滅危惧(ぜつめつきぐ)Ⅰ類(るい)に分類(ぶんるい)されている。

 湧(わ)き水(みず)や沢(さわ)の水が流入(りゅうにゅう)する泥深(どろぶか)い湿地(しっち)やため池、水田脇(すいでんわき)の水たまりなどが生息地(せいそくち)で、生きていく上で水質(すいしつ)が良好(りょうこう)であることが重要(じゅうよう)なんだ。水をきれいに保(たも)つにはどうすればいいか。シャープゲンゴロウモドキを見ながら考えてみてほしい。

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