重要文化財の刀と脇差。利家が愛用したという

前田利家が着用したと伝わる2点の鯰尾兜など前田家ゆかりの宝物=尾山神社

  ●御鎮座150年記念 

 加賀藩祖前田利家が身に着けたとされる「鯰尾兜(なまずおかぶと)」や愛用した刀など前田家ゆかりの貴重な品々が22日、尾山神社(金沢市)の収蔵庫から出された。いずれも普段は収蔵庫に眠っており、一般の目に触れることがほとんどない「お宝」ばかり。同神社の御鎮座150年に合わせて北國新聞社が制作する記念本に画像が収録され、藩政期の歴史と前田家の栄華を現代に伝える。

 尾山神社が収蔵する宝物類は約160点で、甲冑(かっちゅう)、刀剣、弓矢、馬具をはじめ、掛軸、屏風(びょうぶ)などがある。記念本には全てが画像として記録される。

 22日、同神社で行われた撮影には、石川県七尾美術館の北春千代館長らが立ち会った。利家が着用した鯰尾兜は二つあり、大きい方は高さ約60センチ、小さい方は約30センチ。漆の黒い光が戦国時代の香りを残す。

 朱塗りの鞘(さや)に金の蒔絵(まきえ)で雲竜が施された太刀と脇差(わきざし)は、利家が桶狭間の戦いで使ったと伝わる品。桶狭間以降、自身の守り刀として愛用したとされ、見事な拵(こしら)えで重要文化財に指定されている。

 歴代藩主が手掛けた掛軸や襖絵(ふすまえ)も多く、書画に通じた10代重教(しげみち)による「松に山鶏(やまどり)の画」は精緻な筆遣いが特徴となっている。門外不出の能面で、口から泡を吹いたと伝わる「淡吹(あわふき)の面」なども収録される。

 尾山神社によると、これらの宝物は美術館などに貸し出すことはあるが、ほぼ非公開となっており、なかなか目にすることができない。長谷紀之権禰宜(ごんねぎ)は「全ての宝物を一度に見るのは初めて。加賀の繁栄を願って寄進いただいたご当主らの利家公に対する思いが強く感じられる」と話した。

 ★鯰尾兜 戦国時代に流行した変わり兜の一つ。ナマズは地震を引き起こす巨大な力を持つ生物として合戦に縁起がよいとされた。個性的な形の兜は利家だけでなく、長男利長も愛用したとされる。鉄製の兜の上に和紙や革を漆で塗り固めてつくられた。

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