英ケンブリッジ大で海外研修に取り組む九州大の学生=2015年(鈴木右文教授提供)

 円安と世界的なインフレが、大学生らの海外留学を直撃している。学費や滞在費などを円換算した負担額が新型コロナウイルス禍前の1・5倍以上に膨大。渡航を断念する学生を前に大学関係者から「留学は当面『高根の花』」との声が上がる。停滞していた海外交流の再活性化の障害になりかねないとして、寄付金募集の試みが始まる。

 「このままでは学生が海外留学に挑戦できなくなってしまう」。約25年間にわたって英ケンブリッジ大での語学・学術研修に携わってきた九州大大学院の鈴木右文教授はため息をつく。

 九州大の学生が現地に3週間滞在し、語学だけでなく専門科目も学ぶコースは2020年以降、コロナ禍で中断。今夏からの再開が決まったものの、19年に70万~75万円だった費用は100万円を超える見込みとなった。

 今夏の20人超の参加者分は慈善家からの寄付で負担増大分の一定程度を賄えることになったが、来夏以降は不透明だという。このため、鈴木教授は今月22日からクラウドファンディングサイト「READYFOR」で寄付を募る。

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