今日の社説

2018/09/24 00:17

就職活動のルール 何らかの歯止め必要では

 経団連の就職活動ルール廃止の方針が波紋を広げている。石川県経営者協会が会員企業を対象にアンケート調査した結果、178社のうち43%の77社がルールの廃止に反対と回答した。歯止めがなくなると中小企業の採用が難しくなるとの懸念が強い実情がうかがえる。

 一方で24%の43社は賛成と回答し、32%の58社は「どちらでもない」と答えた。いずれにしても経団連の唐突な廃止表明に戸惑う県内企業の実情が見て取れる。

 就職・採用活動をめぐっては経団連の中西宏明会長が2021年春入社の採用から、説明会や面接、内定の日程を定めたルールを廃止する意向を今月3日の会見で示した。これを受けて政府は経済、大学の関係者とともに10月に対応を協議する。21年春入社の採用は現行ルールと同じになる見通しというが、問題は22年以降である。

 ルールの見直しや採用方法を検討するのであれば、廃止や変更のしわ寄せを懸念する中小企業の事情を考慮して進めてほしい。学生に及ぶ影響を考えると、何らかの歯止めが必要なのではないか。

 県経営者協会のアンケートでは、ルール廃止に反対の企業の多くが廃止によって大手企業優位の傾向が強まるとみている。廃止で採用活動が長期化すると、対応できないという回答もあった。大手のように採用活動に注力できない中小の実情を考えると、理解できる反応である。

 経団連には、新卒者を一括採用する日本流のルールは時代に合わなくなったとの認識があるのだろう。経団連に加盟していない外資系企業がルールに縛られないことに対する不満もあるという。

 しかし、日本経済は大企業だけで成り立っているわけではない。大都市に人材が流出する地方では人手不足が事業の制約要因になっている。就活ルールの検討で中小企業の事情に配慮することは日本全体のために必要な対応である。

 大学側は急な変更による混乱を懸念している。就活の開始が早まり、長期化すると学業に支障が出かねない。ルールを設けても形骸化が進むとの見方はあるが、学生や中小企業の負担を抑える仕組みはあった方がいい。

日米の貿易問題 中国とは立ち位置に違い

 安倍晋三首相は26日、トランプ米大統領との首脳会談に臨む。北朝鮮の非核化に向け連携を確認するとともに、貿易問題について意見を交わすことになろう。

 トランプ大統領は11月に中間選挙を控え、対日貿易赤字の解消に強い意欲をみせている。中国に対する強気一辺倒の姿勢を日本に対しても貫いてくる可能性は十分にあるのではないか。

 安倍晋三首相はテレビ番組で貿易問題に関し、「国益をしっかりと守りたい」と述べ、「環太平洋連携協定(TPP)で示したもの以上は出さない」と強調した。

 自民党総裁選で石破茂元幹事長は、首相とトランプ大統領の関係に「友情と国益は別だ」とクギを刺したが、安倍首相もそんなことは百も承知だろう。主張をぶつけ合うなかで、妥協点を探る努力を続けてほしい。

 トランプ大統領が中国に突き付けた要求はすさまじい。第1弾、第2弾合わせて500億ドル(約6兆円)分の制裁関税に加え、今回はさらに2000億ドル分に制裁関税10%を上乗せした。中国が妥協しなければ、年明けから25%に引き上げ、さらに2670億ドル分の制裁を追加する方針である。

 トランプ大統領は選挙対策に、パフォーマンスを演じなくてはならない時期であり、米紙の取材に対し、安倍首相との友情を終わらせてでも日本に譲歩を迫る考えを示している。ただ、いくら要求が厳しいといっても、知的所有権を巡って「全面戦争」状態の中国と日本では、立ち位置に大きな違いがあることも理解しておきたい。

 米側は自動車と部品の輸入制限をちらつかせ、2国間交渉入りを求めてくるだろう。自動車を制裁対象から外す代わりに、農産物などの市場開放を求めて来るのではないか。安倍首相はトランプ大統領と激しくやり合い、場合によっては席を蹴って立つ姿を見せることも必要だろう。

 ディール(取引)を迫るトランプ流に対し、日本は防衛装備の購入など、搦め手から交渉することも考えたい。知的所有権を侵害し続けている中国に対しては協力し合える部分もあるのでないか。