今日の社説

2020/02/19 01:25

小松空港薬物密輸 手薄な地方空港に狙いか

 小松空港の中国・上海便で旅客手荷物から覚醒剤約1・8キロが押収された。石川県警などの合同捜査班は1月、キャリーケースに隠し持っていた野々市在住の女を覚せい剤取締法違反などの疑いで逮捕し、入手経路などを調べている。

 同空港で摘発した覚醒剤としては過去最多の量で、末端価格は1億1千万円相当に上る。国際的な犯罪組織の関与を含め、全容の解明に尽してほしい。

 密入国や密輸に関しては検査が手薄になりがちな地方の空港や港が狙われやすいとの指摘があり、各機関も手だてを講じてきた。今回の小松空港での摘発は依然として地方ルートを使う手口が絶えない密輸の実態を示すとともに、地方空港の国際化に伴うリスクの一端を浮き彫りにした。富山空港でも同様に薬物流入の阻止へ警戒を強め、水際での犯罪抑止に万全を期したい。

 国内では昨年の取り締まりで覚醒剤や大麻など不正薬物の押収量が前年の約2・2倍となる3千キロ超に及び、過去最多を記録した。今夏開催される東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策など監視を強化している成果の一つともいえるが、それほど薬物汚染の危機にさらされている日本の憂慮すべき現状を深刻に受け止める必要がある。

 薬物の密輸は最近、船舶同士が海上で受け渡す「瀬取り」や国際郵便を使う手法が顕著とされる。航空機の手荷物に潜ませて持ち運ぶ手口は一時やや減ったが、昨年急増した上、避妊具の中に入れて体内に隠したり、食品やアロマ製品に偽造したりするなど巧妙化している。さらに複数人が小分けにして運ぶ「ショットガン(分散)方式」が増えているという。

 薬物取引は海外の犯罪組織と日本の裏社会が結びつき、得た莫大な利益を新たな犯罪の資金にしている疑いがある。特に覚醒剤は密輸による国内流入がほとんどといわれ、水際での遮断が重要となっている。狡猾な手口で潜在化する傾向にあるが、日本の治安を脅かす犯罪の封じ込めに、関門を担う各機関は厳重な取り締まりに当たってもらいたい。

GAFA規制 独占的な力抑える法案を

 プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業に対する規制を強化する新法案が閣議決定された。頭文字を取ってGAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの米4社のほか、日本の楽天、ヤフーなど、スマートフォンのアプリ市場やインターネット通販などを運営する企業が対象である。

 新法案は、市場での独占的な力を背景に、取引先に不利な条件を押し付けたり、一方的に手数料を引き上げたりする行為を防ぐ狙いで、プラットフォーマーに対し、出店者との取引条件の開示などを義務付ける。立法化によって外からは見えにくい取引の透明性を促し、利用者や出店者が不利益をこうむることのないよう公平・公正な市場づくりを後押ししたい。

 膨大な顧客情報を蓄積し、ITビジネスを牛耳るGAFAを見る世界の目は厳しさを増している。彼らのビジネスを監視し、不正を摘発していくにはノウハウの蓄積が必要だ。欧州委員会を参考にIT人員の育成にも努めてほしい。

 プラットフォーマーは、SNS(会員制交流サイト)や検索サービス、地図、位置情報などのネットサービスを無償で提供する見返りに、利用者の個人情報を大量取得し、ビジネスに利用してきた。

 当初は業者と利用者がともに利益を得るビジネスモデルと見なされていたが、特定のプラットフォーマーが巨大化して市場を占有するようになり、弊害が目立つようになってきた。

 通販サイト「楽天市場」に送料無料制度を導入する方針を巡り、公取委が独禁法違反(優越的地位の乱用)の疑いで楽天に立ち入り検査したばかりである。新法案はこうした問題を未然に防ぐためにも必要だろう。

 欧州委員会はGAFAに対し、EU競争法(独占禁止法)違反で徹底した調査を行い、グーグルに対して計1兆円近い制裁金の支払いを、アップルとアイルランド政府に対しては、課税逃れを理由に1兆7400億円の追徴課税を命じた。日本にも巨大IT企業を監視する番人が必要だ。