今日の社説

2019/06/26 01:26

新倶利伽羅トンネル 国道強靱化へ早期の完成を

 石川、富山県境の国道8号について、北陸地方整備局は倶利伽羅トンネルの北側に整備する新たなルートを決定した。延長約3キロの区間に2本の新しいトンネルを整備する計画で、今年度は用地測量と建物調査を行い、調査終了を待って用地買収に着手する。

 国道8号の県境付近は、津幡北バイパスなどの整備によって通行環境が大幅に向上した。2015年7月には三井アウトレットパーク北陸小矢部が開業し、倶利伽羅トンネルの1日当たりの交通量は約2万台に上っている。ただ、倶利伽羅トンネルは幅員が狭い上に供用から半世紀を経て老朽化が著しく、トンネル付近は大雨による土砂崩れの恐れから通行止めの懸念がつきまとう。

 このため、石川、富山両県や沿線自治体は、事故防止や災害時の交通確保の観点から、新トンネルを含めた迂回ルートの整備を求めてきた。今回の新ルート決定で国道8号の強靱化が図られることになり、早期の完成に向けて着実に事業を進めてもらいたい。

 北陸地方整備局の計画では、新トンネルは車道の幅を1車線当たり現在より0・5メートル広げ、両側に0・5メートルの路肩をそれぞれ設けるほか、新たに歩道も整備する。ドライバーにとっては、現トンネルに比べて運転の負担が大きく軽減されるのは間違いなく、事故の抑止効果が期待できるだろう。

 国道8号の強靱化は、北陸自動車道の代替道路の役割を果たす上でも重要である。北陸道では昨年1月、大雪のため金沢森本―小矢部インターチェンジ(IC)間の上下線で一時、合わせて約410台が動けなくなり、36時間にわたって通行止めが続いた。そうした事態にも備えて、国道8号の安全で円滑な通行を確保しておかなければならない。

 国道8号では石川、福井県境でもトンネルの新設を含めた4車線化工事が進められることになっている。昨年の大雪で約1500台が立ち往生したのを教訓にした強靱化対策であり、石川、富山県境の新ルート整備と合わせて、交通の難所である山間部の道路改良が進むことは北陸全体にとって大きな意義がある。

米イラン関係緊迫 自制の働き掛け強めたい

 米国とイランの対立が緊迫の度を増している。国連安全保障理事会は非公開会合を開き、ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃について、「国際平和と安全への脅威」と非難し、当事者に最大限の自制や緊張緩和に向けた措置を取るよう促した。

 タンカー攻撃や米無人機撃墜をめぐる米国とイランの主張は真っ向から対立し、国連は非難の応酬の場となっているが、両国の対立が軍事衝突という最悪事態に至らぬよう、国際的な働き掛けを強めなければならない。

 28日から大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議は、米イランの自制と対話、ホルムズ海峡の安定化が国際社会の一致した要請であることを示す格好の機会である。サミットの議長として安倍晋三首相は主導力を発揮してほしい。

 ホルムズ海峡の安全に関して、トランプ米大統領はイランを非難する一方、重大な問題提起も行った。同海峡を経由して中東原油を輸入する日本や中国を名指しして「自国の船は自分で守るべき」と主張したことである。

 中東原油に頼る必要のない米国が「なぜ他国のために輸送路を無償で守っているのか」と疑問を呈したことは、米国第一主義に基づき、同盟国に「応分の負担」を求める方針の一環とみることもできるが、中東への米軍展開は、米国自身の世界戦略であり、中東の同盟国のためでもある。米海軍の存在が薄れると、中東情勢はさらに不安定になり、中国海軍の影響力が増大するであろうことをトランプ氏は認識してほしい。

 米国は無人機撃墜に対する事実上の報復措置として、イラン最高指導者ハメネイ師を制裁対象に追加した。指導者同士の非難合戦はエスカレートしており、末端の憎しみの感情が武力行使の引き金になる危険性も高まっている。ホルムズ海峡の航行の安全確保は、日本にとって死活的に重要であり、菅義偉官房長官が「中東地域の緊張緩和に向けて外交努力を継続する」と述べているのは当然として、軍事衝突による海峡封鎖といった事態を想定して対応策を練っておく必要もあろう。