今日の社説

2019/02/16 01:34

パトリア破産申請 民間主導で再生できるのか

 JR七尾駅前の複合商業施設パトリアを運営する「七尾都市開発」が金沢地裁に破産申請することを決めたのは、キーテナントの撤退で売上高が激減し、営業赤字解消のめどが立たないためだという。

 1995年4月に旧ユニー跡地に開業し、中能登一帯から買い物客を集めてきたが、郊外型の大型店の出店もあり、最近は集客力に陰りが出ていた。

 七尾都市開発は七尾市が出資する第三セクターで、同市は改修費約4億円を投じて健康福祉部などを入居させるなど、経営支援をしてきたが、補助金などの投入はしない方針だった。

 営利を目的とし、公益性が著しく高い企業とはいえない以上、個別の損失補償や税の投入を避ける判断は正しかったのではないか。官主導で経営を立て直しできるほど現実は甘くない。現在のように、公共部門を入居させる程度の支援が精いっぱいだったといえる。

 運営会社の破綻後、パトリアの営業は地権者による管理組合に引き継がれる見通しという。前途は厳しいと言わざるを得ないが、七尾市中心部のにぎわいを維持し、「幽霊ビル」にしないためにも、再生を目指してほしい。民間主導が望ましいが、市も前面に出て難題に取り組む覚悟がいる。

 能登全域で人口は減り続けており、能登の中核都市を自負する七尾市も例外ではない。国立社会保障・人口問題研究所(東京)の推計によると、現在5万2878人を数える七尾市の人口は右肩下がりが続き、2040年には3万5880人にまで減ると予想されている。

 人口減少とともに商圏がしぼんでいくなかで、再生の道筋をどう描いていくか、地域社会全体に突き付けられた課題でもあろう。

 地方都市で第三セクターの運営会社が苦境に陥る例は珍しくない。青森市では、青森駅前の複合商業施設「アウガ」が2016年に事実上、経営破綻した。同市は2008年に債務を買い取り、運営主体となっていたが、早々に行き詰まり、市長が責任を取って辞任している。青森市の失敗を教訓にしながら七尾の駅前再生に向けて、知恵を絞ってほしい。

豚コレラ拡大 防疫指針の徹底が必要

 昨年9月に岐阜県内で確認された豚コレラが、今月に入って5府県に感染が拡大し、終息の気配が見えない。愛知県が田原市の「養豚団地」で飼われる全頭の殺処分を決めたのは、豚コレラの拡大を食い止めるために、やむを得ない措置である。考えられる感染経路の防疫に万全を期し、制圧に全力を挙げてほしい。

 家畜伝染病対策の柱は発生の予防、早期の発見・通報、迅速・的確な初動対応であり、自治体や養豚業者らが取るべき具体的な対応策は、国の豚コレラ防疫指針に細かくまとめられている。これまでの経緯をみると、防疫指針の不徹底が感染拡大と混乱に拍車をかけたと言わざるを得ない。

 豚コレラの発生を受けて農林水産省は昨年9月9日、豚コレラ防疫対策本部の会合を開き、拡大阻止のための消毒強化や迅速な殺処分・焼埋却などを岐阜県に指示する一方、全都道府県に早期発見・通報の徹底を呼びかけた。

 当初、感染拡大は岐阜県内にとどまっていたが、2月に入って愛知県内の養豚場で感染豚が見つかり、同養豚場から出荷された子豚を通じて長野、滋賀両県や大阪府にも広がってしまった。防疫指針に従えば、愛知県は養豚場から豚の症状について連絡を受けた当日に出荷自粛を要請すべきであったが、それを怠り感染拡大を招いたことは厳しく責められよう。

 一方、感染した大阪府東大阪市の農場は、狭い「都市型農場」のため、敷地内に埋却場所がなく、焼却処分の施設の確保などで混乱し、国が求める「24時間以内の殺処分完了」ができなかった。防疫指針では、埋却地を確保できない場合、公有地や焼却施設の利用について自治体と事前に調整することになっているが、大阪府はそうした用意をしていなかった。

 感染拡大のいわば起点となった愛知県の養豚場は、一般的な養豚農家より高水準の防疫対策を取っており、1月下旬に県が行った立ち入り検査で、国の飼養衛生管理基準を全て満たしていたという。今回の感染拡大の原因を究明し、防疫指針や安全基準に不備がないか点検する必要もある。