北國新聞社より | 北國新聞社

今日の社説

2018/08/20 01:07

除雪体制の見直し 教訓共有し対策に実効性を

 今年1、2月の大雪を受けた除雪体制の見直しが進んでいる。石川県は市町とともに会議を開いて対策を確認した。国土交通省の北陸、近畿両地方整備局は国道の立ち往生を防ぐための取り組みを関係機関に示した。

 今は暑い日が続くものの、降雪期まで半年を切っており、のんびりと構えてはいられない。1、2月の記録的な大雪では、しばらく雪が少ない冬が続いたこともあって除雪が後手に回りがちであった。関係機関は今年の問題点を検証し、教訓を共有して雪対策の実効性を高めてもらいたい。

 県の道路除雪連携会議で市町が示した対策では、除雪機の増強が目立った。生活道路にも大きな支障が出たため、消防団に小型除雪機を配備したり、町会が機械を購入する際に補助したりする市町も多い。装備の拡充は迅速な除雪につながるだろう。

 国交省も深刻な立ち往生が発生した石川、福井県境付近の国道8号に除雪機を重点配備する。片側1車線区間で除雪が滞らないように車の退避場所を設けるのは当面の対応としていいが、本格的な対策には4車線化が必要になる。

 刻々と変わる道路状況を的確に把握するためには情報の収集方法を工夫する必要がある。国交省が国道8号でカメラを増やし、人工知能(AI)を活用して動けなくなった車を検知する仕組みは、立ち往生の規模拡大を防ぐ対策として注目したい。加賀市や小松市が計画する衛星利用測位システム(GPS)の利用も効果を期待できる。

 関係機関の連携も課題である。国交省が自治体や高速道路会社、自衛隊、気象台などとともに取る対応を整理した上で、合同訓練を行うのは今年の教訓を生かした対応と言える。自治体が管理する道路でも県と市町の連絡を密にして除雪の効率を上げてほしい。

 交通量が多い金沢市は除雪の遅れによる混乱を防ぐため、除雪の出動基準を前倒しした。狙い通りの成果を出すためには、除雪作業を委託する事業者の確保と習熟度の向上が重要になる。

 いずれの対策も不断の見直しが欠かせない。関係機関の本腰を入れた取り組みが求められている。

文大統領演説 未来志向の一歩となるか

 日韓両国の関係は今年10月に、「未来志向」を前面に打ち出した1998年の日韓共同宣言から20周年を迎える。韓国の文在寅大統領が「光復節」式典の演説で、日本との歴史問題に言及しなかったのは、共同宣言20周年の節目も意識し、未来志向の日韓関係構築に取り組む姿勢を示したものと言える。

 しかし、旧日本軍の慰安婦問題は、2015年の日韓合意で解決しないという姿勢を一段と強めているのは残念である。韓国政府が定めた初の慰安婦記念日での発言も見過ごすことはできない。

 文政権は、慰安婦問題を「国内外に広く知らせ、被害者を記憶するため多様な行事と広報を行う」との名目で記念日を法律で制定した。その式典演説で文氏が「外交的な手法で解決される問題ではない」との主張を繰り返し、「この問題が外交紛争につながらないよう願う」と述べたのは理不尽と言わざるを得ない。

 そもそも、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった日韓合意を事実上破棄し、再び外交問題化したのは文政権自身である。慰安婦問題に関する韓国の言動に日本は外交上、反論すべきではないと言わんばかりの韓国側の姿勢から、真の未来志向の関係を築けるとは思われない。

 文氏は演説の中で、慰安婦問題を「戦時下の女性への性暴力、人類の普遍的な女性の人権問題」と定義した。そうであれば、自国の軍隊や米軍兵士らによる戦場の性の問題も取り上げ、正しく考察することで記念日の本当の意義も認められるのではないか。

 日本統治からの解放を記念する光復節の演説で、文氏は日韓の緊密な協力が、日本と北朝鮮の関係正常化につながると訴えた。北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和体制構築には日朝関係の正常化が必要であり、それを後押しするためにも日韓関係を安定させ、連携を強化することが重要という認識とみられる。ただ、「南北分断を克服し、一つの経済共同体をつくることが真の光復(主権回復)」という文氏の理想は遠く、日韓関係の安定も見通しにくい。