今日の社説

2018/10/22 00:27

臨床研修マッチング 高水準の維持は評価できる

 医師免許を取得した医学生が来春からの研修先を選ぶ「臨床研修マッチング」で、採用を予定する石川県内の15病院に117人、富山県内の12病院には80人が内定した。石川県の内定者(マッチ者)は過去最多だった2017年度の120人に次ぐ人数で、富山県も16年度の82人に次いで過去2番目となった。

 石川県の内定者が100人を超えたのは、09年度から10年連続となる。富山県は17年度から7人増えており、北陸三県では唯一の増加となった。いずれも受け入れ先の各病院が研修プログラムの充実や募集活動の強化に取り組んできた成果といってよく、両県がともに高水準を維持しているのは評価できよう。

 厚生労働省によると、大都市がある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く地方の内定者は、17年度に続いて過去最多となっている。地方としては心強い傾向であり、石川、富山県でも引き続き臨床研修医の確保に努めていきたい。

 病院別に見ると、募集定員を100%満たしているところがある一方、石川県では芳珠記念病院、富山県では済生会富山と高岡市民の2病院が内定者ゼロとなった。定員に達していない他の病院も含めて研修プログラムの一層の充実を図り、充足率を高めていく必要がある。

 両県では、各病院が合同説明会を開いたり、医学生に直接働き掛けるなど、さまざまな取り組みを行っている。臨床研修医の確保に特効薬はないと言われるだけに、行政と病院が協力して地道に募集活動を続け、内定者の底上げを図ってほしい。

 多くの臨床研修医を受け入れることは、新たにスタートした「専門医制度」でもプラスになる。専門医は診療領域の十分な知識と経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師を指し、今年度から研修が始まった。2年間の臨床研修を終えた医師が対象となり、多くは同じ受け入れ先で専門医研修を受ける傾向があるという。

 臨床研修から専門医研修へと引き継ぎ、県内病院への定着につなげていくのが理想だろう。

金沢メギス ご当地海産物の新定番に

 金沢市は、地元で水揚げ量が多いメギスを金沢ならではの海の幸と位置付け、「金沢メギス」として広く売り込むことになった。カニやノドグロなどと比べこれまで観光客になじみが薄かった魚だが、多様な調理法が楽しめる隠れた石川の海産物として全国レベルで売り出したい。

 メギスは、キスに似ていることから、全国的には「ニギス」の名で知られる体長20センチほどの白身魚で、日本海側を中心に主に底引き網漁で水揚げされる。県水産総合センターの統計では、県内のメギスの水揚げ量は日本一で、金沢市によると、2016年の全国の水揚げ量約3千トンのうち、県内は約950トンでほぼ3割を占める。

 金沢市民の間では、底引き解禁の時期には、甘エビやカレイと並ぶ定番として親しまれており、煮ておろしショウガと酢を添えて食べる代表的なものから、中骨を取ってフライにしたり、干物やつみれ汁でも楽しめる万能魚である。

 金沢では、高級感のあるノドグロやカニの人気が上がる一方で、他の水産物の発信不足が課題となっていた。金沢市は水産物卸売業者や飲食店主によるプロジェクトチームを作り、新ブランドの選定に向けて話し合いを重ねてきた。

 この中で、漁獲の多いメギスの加工品の開発やブランド化が提案され、市では新たな名物としてPRに力を入れることにした。すでにメニューの中に取り入れる居酒屋や、塩焼き、天ぷらなどの品ぞろえを増やす業者もあるようだ。

 もともと当地で、庶民の味として親しまれていたおでんが、新幹線効果で「金沢おでん」として知名度が上がり、車麩(くるまぶ)や赤巻(あかまき)など金沢ならではの具を使う定義付けをしたり、「市民おでんの日」を設けるなどして、地元住民にとっても、ご当地のおでんの良さを再認識する契機になっている。

 金沢メギスもこうした先例を参考に、まずは一段と地産地消を促していくような、インパクトのある切り口で発信することが大切だろう。学校給食に取り入れたり、新作メニューのアイデアを公募するなど、新たな普及方法を編み出すことも考えていきたい。