今日の社説

2020/05/31 00:17

大和堆の警戒始動 体制強化の抑止力に期待

 海上保安庁は、能登半島沖の大和堆周辺で6月から始まるイカ漁を前に、違法操業船を取り締まる巡視船などを配備し、警戒活動をスタートさせた。早い段階で違法操業に対する日本の断固たる姿勢を見せることは重要だ。海上保安庁は水産庁と連携を強化し、日本海の漁の安全確保に務めてもらいたい。

 近年、好漁場の大和堆では北朝鮮や中国の漁船による違法操業が後を絶たず、両庁は今年度に取り締まり体制を強化した。海保は1千トンの大型巡視船を敦賀海保に就役し、本庁に外国人漁業対策室を設け増員するとともに、水産庁は新規取締船1隻を投入、既存の1隻を更新した。両庁は先頃2日間にわたり初の共同訓練に臨み、本格始動へ備えた。体制の増強が年々巧妙、悪質化する違法操業の抑止力になるよう期待したい。

 昨年、海保が違法操業船に発した警告は1320隻、放水は252隻を数えた。水産庁は5122隻に警告を出し、1592隻に放水した。前年より減少しているが、とても安全が向上したとは言い難い。北朝鮮漁船による威嚇行為や衝突事故まで起きたことを思えば、日本海の緊張度はむしろ増していると言える。

 加えて懸念されるのは中国漁船の動向だ。昨年、水産庁による警告は前年の約10倍の1115隻に及んだ。北朝鮮漁船より大型の中国漁船は漁獲能力も格段に高い。春頃から沖縄県尖閣諸島海域では中国公船が領海を侵入するなど挑発行為を続けている。大和堆に繰り出す漁船と連動するかは定かでないが、海洋権益確保を目論む当局の強硬姿勢を背景に進出がエスカレートしても不思議でなく、要注意だ。

 外国漁船は数百隻で押し寄せ、根こそぎイカを取っていくため、大和堆での資源の枯渇が危ぶまれている。小木港の昨年の水揚げ量は過去最低の1541トンにまで落ち込んだ。この記録的な不漁により、既に2隻が廃船し、今季は11隻のうち4隻が新たな活路を求めて北太平洋のアカイカ漁に出ている。外国漁船のなりふり構わぬ乱獲から日本海の資源を守るためにも違法操業の常態化を阻止せねばならない。

北陸の移住対策 コロナ後を見据え情報発

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って生活様式や働き方に変化が出ている中、地方への移住促進の取り組みが改めて注目されている。県内外の経済状況は厳しく、石川、富山両県が推進している事業も感染の影響で制限されてきたが、コロナ禍収束後を見据えて、移住者を呼び込む石川、富山の情報を広く伝えて、地方の活性化につなげていきたい。

 大都市圏での新型コロナの感染拡大は、地震などの大災害の懸念に加えて、感染症リスクを高める東京一極集中の課題を示した。また、感染防止へ「3密」を回避する遠隔でのオンライン会議や診療、場所や時間にとらわれないテレワークの導入など、日常の生活や働き方の考えも大きく変わろうとしており、地方での暮らしの可能性を広げたといえる。

 北陸の自治体は住みよさなどの魅力で、これまでも移住に関連するランキングで上位に入っている。人口当たりの感染者数が多かった新型コロナの対策となる新しい生活様式に対応した環境の整備や医療体制の充実は、コロナ後の移住を後押しすることにもなるだろう。

 石川、富山両県とも移住者は増加傾向にあり、石川では県や市町の支援策を活用した2018年度の移住者は1182人、富山では県や市町村の相談窓口などを通じた移住者は905人を数え、いずれも過去最多となった。

 コロナ感染の影響で、対面による相談やUIJターンのイベントなど移住関連の事業は制約を受けてきたが、オンラインによる相談や自治体の説明会を行うなど、情報発信の場を設けるようにしている。今後も工夫して地元の魅力と各種支援策を周知してほしい。

 輪島市では、大阪のIT企業の遠隔拠点(サテライトオフィス)が6月末に本格稼働する。同市や県が創設したサテライトオフィス誘致の支援制度適用第1号として認定される見通しとなったもので、環境が整えば地方で快適に仕事ができる新たな企業誘致のモデルとなることが期待される。各自治体でもそれぞれの強みを生かした移住対策を進めてもらいたい。