今日の社説

2020/02/25 00:57

百万石回遊ルート 金沢巡りの王道に高めたい

 今夏完成する金沢城の鼠多門(ねずみたもん)・鼠多門橋は、石川門・石川橋によって城内と兼六園が結ばれているように、尾山神社と金沢城公園を直結する役割を果たす。歩いて金沢中心部を巡る上で行動範囲を大きく広げる効果が期待できるだけに、県では長町武家屋敷跡から本多の森公園を結ぶ道のりを「加賀百万石回遊ルート」と位置づけ、多言語の案内板などを設置し、各施設を解説するスマートフォン向けアプリも作って散策を促す。城下町金沢巡りの「王道」として認知度を高めたい。

 県が7月の東京五輪・パラリンピック開幕までの完成を目指して建設を進める鼠多門・橋は、城内最大規模の木橋であり、これまで道路を横断しなければ行き来できなかった尾山神社と城内を結び、加賀藩の中枢であった城一帯の連動性を高める。

 金沢城は長らく石川門側が玄関口のような位置づけだったが、「西の玄関口」としての鼠多門・橋が完成することにより、人の流れがダイナミックに広がる可能性が高まってきた。たっぷり一日をかけて動き回る外国人観光客を中心に、程よい距離感の中で歴史的建造物や庭園、美術工芸品といった金沢の文化の粋に触れたい遠来客にとっては魅力的なルートに違いない。こうした回遊性の向上を高める上では、尾山神社の目と鼻の先で4月にオープンする金沢中央観光案内所が、情報拠点として重要な役割を担う。

 武蔵から香林坊にかけての大動脈沿いは、これまでのオフィス中心からホテルへの建て替えが進む。その一角に周辺を歩いて巡る際に立ち寄れる情報スポットがあることは大きい。

 同観光案内所では、加賀友禅の彩色や輪島塗の沈金、生け花や箏曲といった伝統文化の体験も充実させる。金沢の観光案内所でしかできない充実したもてなしは、伝統文化に関心が高い海外富裕層への訴求力を増すだろう。

 県では加賀百万石回遊ルート沿いにある施設の共通入館券とバス乗車券をセットにしたパスポートを発行し、各施設を巡るスタンプラリーも実施する方針である。新たな案内所と連携したイベントも切れ目なく企画していきたい。

中国のメディア 宣伝戦略を警戒する米国

 米国務省が、中国の新華社通信など国営メディア5社を「中国共産党の宣伝機関」と認定した。報道を規制するものではないが、中国の国営報道機関は大使館などと同じ外交使節団とみなされ、米国で活動する記者らの名簿や保有資産などの届け出を義務づけられることになった。

 トランプ政権が、中国の対外宣伝戦略やスパイ活動を強く警戒していることを示す措置である。米国に追随はしなくとも、日本政府も同様の認識で中国メディアの活動をみていく必要があろう。

 米政府が中国共産党のプロパガンダ(政治宣伝)機関に認定したのは、新華社のほか中国国際テレビ、中国国際放送、英字紙チャイナ・デーリー、党機関紙・人民日報系列の米国海天発展の5社である。中国共産党のメディア統制は習近平指導部の下で一段と強化されており、特に5社は「中国政府と共産党のために100パーセント働いているとみなされる」ことが認定理由という。

 中国政府のメディア統制は外国の報道機関にも及んでおり、少数民族の人権弾圧が深刻な新疆ウイグル自治区の取材は特に厳しく規制されている。そうした中国の人権状況や報道規制を米議会が厳しく批判していることも、今回の措置の背景にある。

 共産党宣伝機関に認定された5社は、米国内の従業員の個人情報を記録したリストを提出し、新規雇用や解雇の届け出を義務づけられるほか、米国内で新たに資産を取得したり賃借する場合は、米政府の事前承認が必要となる。

 中国共産党政府が、国際社会での存在感をアピールするため、対外宣伝戦略に力を入れてきたのは周知のことである。世界のニュースの大部分を西側メディアが支配する「西強我弱」(西側が強く我々は弱い)を打破し、自国メディアの発信力を高めていくことが、国際的な世論戦に勝つためにも不可欠という認識であろう。

 近年は日本のテレビ番組などの輸出が伸び、日本のアピールに貢献しているが、政府は国際世論に訴える宣伝戦略にもっと力を入れる必要があろう。