日本遺産に認定された南砺市井波の井波彫刻

南砺・井波の彫刻、日本遺産に 県内2件目、文化庁が認定

2018/05/25 02:08

 文化庁は24日、地域の文化財や伝統を観光資源として活用する「日本遺産」に、南砺市の「宮大工の鑿(のみ)一丁から生まれた木彫刻美術館・井波」を含む13道県の13件を新たに選んだ。住民の暮らしに根付く井波彫刻は、技術力、芸術性ともに全国から高い評価を得ており、五箇山、城端地区をはじめ、近隣地域と一体となった文化の発信が期待される。

 

 今回は第4弾の認定で、全国45都道府県から76件の申請があった。富山県内からの認定は、初回の2015年に高岡市が申請した「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡―人、技、心―」以来、2件目となる。今回の認定で日本遺産は計67件となった。

 

 華麗さと豪壮さを併せ持つ井波彫刻は、地域の寺社や民家に飾られ、春にはその技術で装飾された曳山(ひきやま)や獅子舞が練り歩く。文化庁は「まちなみの木彫刻と今に続く技術の双方を体感できるストーリー。五箇山、城端地区との周遊プラン作りが期待できる」(記念物課)と評価した。

 

 木彫刻美術館・井波は、宮大工の技術の粋が見られる井波別院瑞泉寺(ずいせんじ)や、彫刻工房が軒を連ねる八日町通り、瑞泉寺とのつながりが深い五箇山の寺社群のほか、城端、福野の曳山行事など有形無形の文化財33件で構成される。

 

 井波彫刻は、江戸中期の大火で焼失した瑞泉寺の再建のため、京都から派遣された東本願寺の御用彫刻師、前川三四郎が京都の技を伝えたのが始まりとされる。宮大工の、のみから生まれる木彫刻の技は脈々と受け継がれ、地元の寺社で見られるだけでなく、周辺地域のみこしや屋台にも施されるようになった。

 

 認定を受けた自治体は案内板や休憩所などの整備で、国から3年間で7千万円の補助が受けられる。

 

 日本遺産の認定証交付式は24日、東京都内のホテルで行われた。宮田亮平文化庁長官から認定証を受け取った南砺市の田中幹夫市長は、一昨年、昨年に続く申請だったとして「3度目の正直。井波彫刻の価値が認められて本当にうれしい。南砺、富山、北陸を発信する起爆剤にしたい」と喜びを語った。

 

 文化庁は、昨年認定された日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」に、富山市、高岡市を含む27市町を追加認定した。船乗りゆかりの建物や場所、資料など有形の文化財などで構成され、富山市からは旧森家住宅、岩瀬まだらなど4件、高岡市からは「けんか山」で知られる伏木曳山祭、勝興寺唐門など9件が盛り込まれた。