北陸の経済ニュース 【7月18日03時05分更新】

再稼働戦略に狂い 志賀原発「活断層」
 志賀原発1号機の直下を走る断層が活断層である可能性が浮上したことで、志賀原発の 再稼働に向けた北陸電力の戦略は大きく狂う。志賀2号機は来月にも安全評価(ストレス テスト)1次評価の審査が終了する見通しだが、見直しを迫られる可能性もある。夏に次 ぐ電力需要期である冬の停止は必至の情勢で、北電関係者に戸惑いが広がっている。

 「これぞまさに典型的な活断層」「現地調査をするべきだ」。17日に開かれた経済産 業省原子力安全・保安院の専門家会議。出席した大学教授ら委員15人のうち、3人が志 賀原発の断層をめぐる問題で厳しく追及した。

 今泉俊文東北大大学院理学研究科教授は「よくこんなのが審査を通ったな、とちょっと あきれている」と発言。国の審査などへの批判を続け、原発反対派の傍聴者から拍手が起 きる場面もあった。

 独立行政法人産業技術総合研究所活断層・地震研究センターの杉山雄一主幹研究員は「 個人的には活断層の可能性が高いと思う。きちっと評価する必要がある」と再調査の必要 性を強調した。遠田晋次京大防災研究所准教授は「(北電の説明は)あまりにもいいよう に解釈しすぎているのではないか」と疑問を投げ掛けた。

 終了後、北電の前川功土木部長は「専門家会議では敷地内で掘削調査した地層断面の写 真やスケッチを基に短時間の審議で判断されており、承服しがたい」と険しい表情。その 上で「原発新設時の国の安全審査では1、2年かけて検討して問題ないと判断された。も う少し時間をかけて説明する機会をいただきたい」と話した。

 会合では大飯原発の敷地内を走る断層についても議論されたが、保安院の黒木慎一審議 官は「志賀はえらく強い意見があった。大飯とはかなり違う気がする」と述べ、志賀と大 飯で委員の見解が異なるとの認識を示した。

 志賀原発は1、2号機とも、保安院が再稼働の条件となる安全評価の1次評価結果を審 議中。2号機の審査は大詰めを迎え、保安院は26、27日に現地調査を実施する方向で 調整している。

 保安院は「審査に変更はなく現地調査も行う予定だが、今後、活断層ということになれ ば見直しをする必要がある」と指摘する。保安院の審査が来月に終わったとしても、その 後、9月上旬にも発足する原子力規制委員会が審査の妥当性を確認する予定で、規制委で 断層の問題が議論される可能性が大きい。

 断層の再調査が実施されれば、再稼働が遅れることは確実視される。活断層と確認され た場合は「立地不適格」として運転継続が困難となる。

 原発内の断層をめぐっては、日本原子力発電敦賀原発(敦賀市)で破砕帯と呼ばれる軟 弱な断層がずれる可能性が保安院の現地調査で判明し、廃炉の可能性が浮上している。

 北電関係者は「国は現地調査までして、しっかり審査しているはず。国が自ら国の安全 審査を否定したようなものだ」と嘆いた。

 政府の試算によると、志賀原発が再稼働しなければ、北電は2013年3月期(今期) の単体決算で最終赤字が322億円に膨らむ計算になる。厳しい経営を強いられる中、北 電は「一日も早く志賀原発を動かしたい」と意欲を示すが、再稼働のハードルは高くなる ばかりだ。


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