北陸の経済ニュース 【8月19日03時04分更新】

石川へ富山勢、その足元に新潟勢 食品スーパー
 北陸の食品スーパーで、県境を越えて進出する動きが広がっている。富山県勢が金沢な ど石川県内に出店攻勢を掛けるなか、その足元の富山県東部に、売上規模1200億円を 超える新潟県のスーパーが攻め込んできた。富山の「2強」は新潟からの越境に対抗する 構えを見せ、石川の地場スーパーでは、不採算店の見直しや改装で既存店の強化に動き出 した。

 富山に越境してきた新潟県のスーパーは、東証1部の原信ナルスホールディングス(長 岡市)。新潟県内だけで62店舗を構え、長野県にも3店を持つ。

 1999年に黒部市に富山1号店を開業させたが、以来、富山では音なしだった。それ が、来年度にも魚津市に富山2号店を出す方針を固めたようで、今後、滑川市など富山県 東部で多店舗展開を進める意向という。

 富山県内の食品スーパー業界は、アルビス(射水市)、大阪屋ショップ(富山市)とい う「2強」の存在が圧倒的だが、原信の店舗開発担当者は「雰囲気や毛色の違ったスーパ ーがあった方が、富山県民の選択肢が広がる」と語る。

 現状を、おおざっぱにいえば、アルビスが石川を攻めているうちに、アルビスの牙城で ある富山県西部に、富山県東部の大阪屋が攻勢を掛け、そのすきに、長岡市の原信が富山 県東部に攻め込んだ―という構図になる。

 アルビスは6月、金沢市にイータウン金沢を開業し、さらに金沢で用地を探している。 大阪屋は10月中旬にも富山県西部の射水市に太閤山店、年内に白山市に鶴来店を開業す る方針だ。

 原信の越境攻勢に対し、アルビスの担当者は「魚津をはじめ、氷見や南砺には直営店が ない。条件が合えば出店を進めていきたい」とする。同社は富山県東部には4店しかなく 、原信に負けじと富山県東部攻めに意欲を示す。

 大阪屋ショップの中島隆男常務は「良い商品をさらに安く提供するなど対抗せねばなら ない」と徹底抗戦の構えを見せる。

 富山戦争が激化しても、県外勢の石川攻めは緩む気配がない。

 「金沢市内で交渉中の用地はまだある」。バロー(岐阜県多治見市)の店舗開発担当者 はこう話す。バローは、金沢市南部にある無量井ストアーの有松店跡地で11月にも県内 10店目となる新店をオープンする予定だ。

 11店目も既に決まっている。野々市町にある大和ハウジングの跡地だ。金沢南部での 集中出店を目指し、来年夏の開業を予定する。

 さらに、平和堂(滋賀県彦根市)や大黒天物産(岡山県倉敷市)も金沢での新規出店を 狙っている。

 対する石川の地場スーパー。「東京ストアーの閉鎖2店は低価格戦術で攻める富山2強 の出店で打撃を受けた」。地元の業界関係者はこうささやく。

 東京ストアーが20日に閉鎖する能美市のマリータウン体養店は、アルビス寺井店と約 100メートルしか離れていない。また、30日閉鎖の三ツ屋店は大阪屋ショップ近岡店 から直線距離で約1キロに位置する。

 業界関係者は「早くから不採算だったと聞いていたが、地域の利便性のために閉めるに 閉められなかったのではないか」とみる。東京ストアーの担当者は「閉鎖した分、人と資 金を既存店に注力できる。社内では打開策を議論している最中だ」と巻き返しを期す。

 「人口が増えないのに店だけがどんどん増える。地場はレベルを上げていかないと」。 こう語るのは山成商事(七尾市)の山口成俊社長だ。山成商事は今年6月に金沢2号店の 西金沢店を開業。かほく市にも出店を予定し、県外勢に負けじと拡大戦略を進める。

 改装で集客力を強化する地場もある。ニュー三久(金沢市)は既存店のプチ改装を矢継 ぎ早に打ち出す。6月に泉が丘店、7月に三陽店の鮮魚売り場などを改装した。さらに、 今月はあかつき市場の総菜コーナーを拡充し、10月には伏見台店と続く予定だ。

 マルエー(白山市)は、大阪屋ショップが鶴来店の開業を予定し、「本丸」に攻め込ん で来るとあって、危機感を募らせる。担当者は「必ず対抗策は用意しないといけない」と 話す。

 今夏は、猛暑で飲料や氷菓の売り上げが軒並み好調だが、牛肉の放射能汚染問題や原材 料高騰などにより、思うように売り上げが伸びていない。

 こうした中で、店舗ばかりが増えていけば、価格競争が激しくなり、体力勝負となるの は必至だ。新潟勢の富山攻めで、石川攻めを強める富山勢も足元をすくわれかねない、新 たな局面を迎えた。


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