寄贈された雑誌「キング」を手に取る杉山教授=金大附属図書館

ホッとニュース

大衆誌「キング」一括所蔵 金大附属図書館、北陸で唯一

2018/01/24 01:50

 戦前、日本初の100万部を達成した国民的大衆雑誌「キング」207冊が、金大附属図書館に寄贈された。金沢の文豪徳田秋声、室生犀星らの文学作品を含む幅広い記事を掲載し、庶民の熱狂的支持を得たが、娯楽誌ゆえに所蔵館は極めて少ない。大正や太平洋戦争期の世相や大衆文化を読み解く貴重な資料となり、同大は四高蔵書などを含む資料群と合わせ、メディア研究の拠点化を目指す足掛かりとする。

 

 金大に所蔵されたのは、1924(大正13)年の創刊から太平洋戦争による休刊までの計約250冊のうち207冊で、日本近代文学館(東京)の池内輝雄副理事長が寄贈した。北陸の図書館や研究機関で一括所蔵するのは金大が唯一となる。東京を中心に行われている雑誌などマスコミュニケーション媒体の調査、分析が北陸でも進むことが期待される。

 

 雑誌には室生犀星の全集未収録作品となる随筆「西洋人」「草餅」や、徳田秋声の随筆「物堅い事」など石川ゆかりの作品も収録されている。「西洋人」は軽井沢の別荘で過ごす犀星が、向かいに住む西洋人が石川ゆかりの人だということを知ったエピソードを描いている。

 

 菊池寛の「東京行進曲」や江戸川乱歩の「黄金仮面」、吉川英治の「剣難女難」などキング掲載作は、現在につながる大衆小説の基盤ともいえ、文学研究の素材としても活用が見込まれる。