ホッとニュース 【3月13日03時29分更新】

ありがとう「北陸」「能登」 JR金沢駅、ラストラン大混雑

多くのファンの見送りを受ける「北陸」(右)と「能登」=12日午後10時16分、JR金沢駅川崎駅長から運転時刻表を受け取る土井運転士(中)と蜑^転士(右)
 金沢−上野間を半世紀にわたり結んできた寝台特急「北陸」と急行「能登」が12日、 JRのダイヤ改正に伴い、最後の定期運転を迎えた。上りの列車が出発する金沢駅には、 ラストランを目に焼き付けようと鉄道ファンら約1500人が詰め掛け、ホームは人であ ふれんばかりに。「ありがとう」「さようなら」。数え切れない人々の旅情を乗せて走り 続けた夜行の「両雄」は、無数のフラッシュを浴びながら、満員で上野へと向かった。

 鉄道を撮影するファン「撮(と)り鉄(てつ)」の殺到に伴う混乱を防ぐため、JR西 日本金沢支社は職員40人を配置、金沢東署員27人も巡回した。厳戒態勢の中、目立っ た混乱はなかった。同支社は倶利伽羅、高岡、富山、魚津の各駅でも警備を強化した。

 金沢駅で行われたセレモニーでは、川崎郁夫駅長が「北陸」を運転する蜩朗さんと 、「能登」の運転士・土井浩史さんに運転時刻表を手渡し、握手した。午後9時56分、 6番ホームに「北陸」、同10時3分、5番ホームに「能登」がゆっくり入線。ボンネッ ト型車両とブルートレインが並んだ。

 安全確保のため、定刻より1分遅い10時16分、北衛副駅長の合図で、「能登」が警 笛を鳴らして出発。同じく3分遅れで同21分に川崎駅長の合図で「北陸」が走りだすと 、ホームを埋めたファンが大きな声で別れを告げた。

 金沢駅には午前からファンが集まった。午前10時過ぎから三脚を立てて発車を待った 宝達志水町の会社員岡部正興さん(31)は「仕事や旅行でどちらの列車にもお世話にな った。感謝の思いでいっぱいです」と名残を惜しんだ。

 JRなどによると、「北陸」と「能登」は近年、深夜高速バスの普及などで乗客が減少 し、08年度の平均乗車率は「北陸」が定員の約6割、「能登」が定員の約2割以下にと どまり、車両の老朽化もあって廃止が決まった。

 元環境事務次官の森仁美さん(70)=金沢市出身=は金大卒後、1962年に「北陸 」で上京。大宮駅付近で見た空はスモッグで曇り、北陸の空との違いに驚いた。65年に 金沢で結婚式を挙げ、東京へ帰る際には「能登」の前身の急行列車に乗ったという。廃止 を伝えるテレビニュースを妻愛子さん(66)と見た森さんは「混雑した車内の隅っこに 2人で座っていた思い出が鮮明によみがえった」と語った。

 音楽評論家の宮永正隆さん(49)=金沢市出身=は大学受験のため友人と「北陸」に 乗車した。「『花の東京に行くんだな』という友人の言葉が印象的だった」と思い出を語 った。正月の帰省ももっぱら夜行列車で「からっと晴れた東京をたち、深夜にカーテンを 開けると外は大雪だった。北陸に帰ってきたなあという実感があった」と振り返った。

 本紙に「うめめ日記」を連載している写真家の梅佳代(うめかよ)さん(石川県能登町 出身)は下り列車が発車する上野駅に駆け付け、「すごい人がおる」と驚きながらカメラ を構えた。

 梅さんは能登半島地震が発生した2007年3月25日の夜に「北陸」で能登に帰った 。「せっかく寝台車に乗ってんけど、どきどきして眠れんかった」と話し、盛んにシャッ ターを切った。


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