ホッとニュース 【8月5日04時57分更新】

薬物性肝障害に抑制法 金大大学院の横井教授が薬を開発、特許出願
 金大大学院薬学系の横井毅教授(薬物代謝学)は4日までに、特定の薬によって起こる 重い肝障害の原因が生体の免疫反応であることを突き止め、その抑制方法を開発した。薬 が体内の特定のたんぱく質を活性化し、炎症を引き起こしていた。免疫反応による薬物性 肝障害の仕組みが明らかにされたのは世界で初めてで、研究は米毒性学会の学術誌で発表 される。

 横井教授が解明したのは、吸入麻酔薬の一種「ハロタン」で肝障害が起こる仕組み。ハ ロタンは導入も目覚めも早い全身麻酔剤としてよく使われたが、1万人に1人の割合で麻 酔の数日後に重い肝障害を起こす症例が報告され、最近では使用頻度が減少している。

 この肝障害では、肝臓でホルモンの一種や組織障害性の遺伝子が増殖・活性化して炎症 化することが分かっている。この反応にはこれまで免疫反応の関与は考えられていなかっ た。

 しかし横井教授は免疫機構を調べる中で、炎症を誘導する生理活性物質「インターロイ キン17」(IL17)に着目。ハロタンを投与し、ホルモン類が上昇しているマウスを 調べると、IL17の値も同時に上昇しており、相関関係にあると分かった。

 さらに、ハロタンで肝障害を発症させたマウスにIL17の抗体を与えると症状は回復 した。IL17を投与すると肝障害は悪化した。ハロタンが肝臓で代謝される際にIL1 7が生み出され、同時にホルモン類を増やして炎症を引き起こすと判明し、謎だった薬物 性肝障害の一端が明らかになった。

 この研究から、IL17の抗体は薬物性肝障害を防ぐ薬として期待され、金大は特許を 出願した。肝障害を起こす薬はハロタン以外にも多く、今回分かった仕組みで発症する薬 も複数あると考えられ、現在選別を進めている。横井教授は「他の薬の肝障害メカニズム も研究し、安心して薬が使えるようにしたい」と話した。


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