和紙が素材の鼓を試し打ちする大倉さん=県輪島漆芸美術館

和紙の鼓に太鼓判 輪島塗の技で完成

2017/11/25 02:22

 素材に和紙を使い、輪島塗の技で強度を高めた鼓が、輪島市内の塗師屋で完成した。県輪島漆芸美術館で24日初披露され、能楽師で大倉流大鼓奏者の大倉正之助さん(東京)が試し打ちした。重さは、桜の木を使う本来の鼓に比べて半分ほどの約500グラムで、大倉さんや輪島塗職人らは「学校や祭りで子どもたちに普及させ、日本文化の継承に役立てたい」と意気込んだ。

 

 和紙の鼓制作は、重要無形文化財総合認定保持者として世界で公演する大倉さんが発案し、経済産業省の補助事業として今年4月に始まった。大倉さんは、母親が珠洲市出身で和紙の普及を図る日本文化アドバイザー木南(きみなみ)有美子さん=東京・板橋区=を通じて、輪島市鳳至町の塗師屋店主大崎四郎さん(74)に制作を依頼した。

 

 大崎さんは、和紙を砕いた紙粉に、漆と相性が良いウレタン樹脂を配合して素材を作り、強度を高めるため、布を巻いて漆を塗る輪島塗の布着せを施した。10丁の鼓を制作し、幾つかは輪島塗の特徴である「地(じ)の粉(こ)」(焼いた珪藻(けいそう)土)を混ぜて、より丈夫に仕上げた。

 

 24日は輪島漆芸美術館で4丁が披露され、約50人が大倉さんの奏でる軽快な響きに浸った。大倉さんは「本来の鼓と比べて音質、音域が違うが、和紙の響きの良さがある。コストも抑えられ、カジュアルな和楽器として浸透させたい」と「太鼓判」を押した。大崎さんも「形になって安堵(あんど)している。まだ道半ばで、さらに改良を加えていきたい」と話した。

 

 完成した10丁は、全国の学校で演奏体験用として活用される予定である。