石川のニュース 【7月14日03時33分更新】

遠洋の放射能汚染調査 金大・長尾教授

特殊装置で放射線を測定する長尾教授=能美市の金大低レベル放射能実験施設
 金大の長尾誠也教授(環境放射化学)は、福島第1原発事故で懸念される海洋の放射能 汚染の調査に乗り出す。学術研究船が採取する沖合の海水と海底堆積(たいせき)物を解 析し、汚染の有無や拡散状況を調べる。沿岸海域では東京電力や文部科学省が水質調査を 行っているが、遠洋での調査は初めて。水産物への不安や風評被害が広がる中、放射能の 影響を探る際の基礎データとなる。

 福島原発事故では、大気中への放出に加え、原発の敷地から低レベル放射能汚染水が直 接海へ流出した。境界のない海で、どれほど汚染が広がっているか心配されている。

 長尾教授は、海流を考慮した放射性物質の海への拡散シミュレーションをもとに、近海 から沖合2000キロ以上の遠洋まで調査ポイント14地点を設定。16日に出港する海 洋研究開発機構の学術研究船「白鳳丸」で各地点の海水20リットルと海底堆積物を採取 してもらい、半減期が30年と長いセシウム137など放射性物質の濃度を測定する計画 だ。

 沿岸から遠い地点ほど放射性物質の濃度は低いと予想されるが、能美市にある金大低レ ベル放射能実験施設は、ごく微量の放射能測定が可能な世界有数の施設であることから、 長尾教授が調査に名乗りを上げた。

 海の放射能汚染は、汚染水の流出だけでなく、土壌に広がった放射性物質が河川から海 へ流れるルートも予想される。長尾教授は阿武隈川など福島県内の3河川4地点で既に汚 染調査を始めており、川から海への汚染経路も解析する。

 セシウムなど放射性物質は土の粒子と一緒に沿岸などの海底に堆積、プランクトンが吸 い込んで、小さい魚、大きい魚へと食物連鎖の過程で濃縮される恐れがある。遠洋でも広 域の回遊魚への影響が懸念される。長尾教授は「太平洋でとれた魚介類を安全と言い切る には、はっきりとした数値データが必要になる。被災者に安心してもらえるよう調査に取 り組みたい」と話した。


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