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【10月16日02時00分更新】
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◎小寺菊子の業績に光 富山市出身、少女小説の旗手

小寺菊子の作品のコピーを手にする金子教授=富大五福キャンパス
小寺菊子の作品のコピーを手にする金子教授=富大五福キャンパス
 富大人文学部の金子幸代教授(比較文学、日本近代文学)は、富山市出身の女性作家、 小寺菊子(一八七九―一九五六)の全作品約四百編を集め、菊子の業績評価に乗り出した 。「大正の三閨秀(けいしゅう)」の一人といわれた菊子は、今日ほとんど顧みられるこ とはないが、作品には少女時代を過ごした富山の風土や宗教観などが色濃く反映されてお り、金子教授は少女小説の旗手としての業績をあらためて検証していく考えだ。

 作品の収集は、郷土史家の岡本悦子さん(富山市)が同郷の作家を調べようと始めた。 岡本さんが二〇〇三年六月に死去し、遺族から研究に役立ててほしいと金子教授に遺品が 託された。ほとんどの作品がコピーされており、足りないものを補完して約四百作品とな った。これまでに新聞、雑誌や発表年などの項目に分類する作業を終えた。

 金子教授は、一九一四(大正三)年に発表された『綾子』に焦点を当て、仏教に根差し た生活習慣や風景などを表現している点で、「富山を現実味たっぷりに描いている」と評 価する。また、少女小説の中に現実的な悩みや貧困を交えた作風は、少女小説出身で後に 文学界に認められた吉屋信子(一八九六―一九七三)とは異なる新たな少女小説の道を切 り開いた作家としている。

 作家や評論家らの菊子評では、岡本かの子が「一種のおかし味を持ったほどのお人よし なおばさん」、徳田秋声は「女史の人となりはきわめて正直で善良である」などとしてお り、金子教授は「人の良さがかえって文学の評価を低くしているのではないか」と分析し ている。

 菊子の遺品や作品のコピーなどを展示するコーナーを設けている県教育記念館の齊藤和 夫館長は「苦しい時代の人間を見つめ、『父の罪』という作品では心の叫びを感じる」と 印象を語り、業績の再評価に期待を寄せている。


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