きょうのコラム『時鐘』

2016/08/25 01:57

 案(あん)の定(じょう)、リオ五輪(ごりん)のメダリストの顔(かお)と名(な)前(まえ)が怪(あや)しくなってきた。覚(おぼ)えきれないほどのメダルの最後(さいご)に、日本(にほん)のアニメが「金(きん)」に輝(かがや)いた

閉会式(へいかいしき)で、日本代(だい)表(ひょう)としてドラえもんやキャプテン翼(つばさ)が登場(とうじょう)し、歓声(かんせい)を浴(あ)びた。物(もの)心(ごころ)ついたころから漫(まん)画(が)に熱中(ねっちゅう)し、「漫画ばかり読(よ)んでないで」と叱(しか)られてきた。大人(おとな)になっても漫画(まんが)に引(ひ)かれ、周囲(しゅうい)の冷(つめ)たい視線(しせん)を浴(あ)びた世代(せだい)には、夢(ゆめ)のようである

大人の言(い)い分(ぶん)も少(すこ)しは分(わ)かる。努(ど)力(りょく)しても、そう簡単(かんたん)には実(み)を結(むす)ばない。都(つ)合(ごう)よく「正義(せいぎ)の味方(みかた)」は現(あらわ)れない。厄介事(やっかいごと)がすべてハッピーエンドで終(お)わるほど、世(よ)の中(なか)は甘(あま)くない。「漫画みたいな」考(かんが)えに毒(どく)されると、ろくな大人にはならぬ

一理(いちり)あるのだろう。が、ドラえもんたちの海外(かいがい)での人気(にんき)は、「漫画みたいな」夢(ゆめ)を抱(いだ)くことの大切(たいせつ)さを世(せ)界(かい)の人たちが分(わ)かってくれることを物語る。長い時間がかかったが、元漫画少(しょう)年(ねん)・少(しょう)女(じょ)たちがようやく功労(こうろう)のメダルを手(て)にできた

リオから五輪旗(き)がやってきた。なぜか、ドラえもんの素敵(すてき)な「土(ど)管(かん)」を使(つか)わずに、タラップを運(はこ)ばれてきた。残(ざん)念(ねん)。まだ頭(あたま)のカチカチな大人がいる。