きょうのコラム『時鐘』

2016/12/10 02:09

 「親友(しんゆう)」の2文字(もじ)が必(かなら)ず記事(きじ)の頭(あたま)についてくる。本来(ほんらい)は美(うつく)しい「友情(ゆうじょう)」という言葉(ことば)が地(ち)に落(お)ち、汚(よご)れてしまった

韓国(かんこく)の朴(パク)大統領(だいとうりょう)の弾劾(だんがい)が決(き)まった。儒教(じゅきょう)の教(おし)えが濃(こ)いといわれる国(くに)である。政治責任(せいじせきにん)追及(ついきゅう)だけではすまない。人間(にんげん)の信頼関係(しんらいかんけい)が欲(よく)まみれで利用(りよう)したり、されたりしたことを「友情」といい「親友」と表現(ひょうげん)していいのかを問(と)うてもらいたい

日本では「良(よ)き友(とも)に三つある」とした「徒然草(つれづれぐさ)」が知(し)られる。一に、ものをくれる人(ひと)。二には医者(いしゃ)。三に知恵(ちえ)のある人だと、兼好法師(けんこうほうし)は言(い)う。一番(いちばん)の友が「ものをくれる人」とは何(なん)とも皮肉(ひにく)だが、意外(いがい)と卓見(たっけん)かもしれない

良き友ほどではないが、兼好法師は悪(わる)い友の条件(じょうけん)もあげている。身分(みぶん)が高(たか)すぎる人。若(わか)い人。体(からだ)が強(つよ)い人。酒飲(さけの)み。気(き)が荒(あら)い人。嘘(うそ)つき。欲のある人の七つだ。良き友と悪き友には重(かさ)なる部分(ぶぶん)もあって人間の裏(うら)と表(おもて)を言っているにすぎず、ドキッとする

朴大統領の過酷(かこく)な人生(じんせい)を考(かんが)えると「親友」に深入(ふかい)りし過(す)ぎたのも分(わ)からぬではない。が、ものをくれる人とは「欲深(よくぶか)い人」でもあることを隣国(りんごく)の人間劇場(げきじょう)から学(まな)ぶのである。