
左足で操作してパソコンの仕事に取り組む松尾さん=金沢市の国立病院機構医王病院
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全身の筋肉が動かなくなる難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」を患う
松尾秀樹さん(48)=金沢市旭町二丁目=が今秋、わずかに動く足指でパソコンを操作
し、データ入力などの仕事を始めた。石川県難病相談・支援センターによると、寝たきり
生活を送る難病患者が就労するのは極めて珍しく、関係者は「社会参加を望むほかの難病
患者の大きな励みになる」と松尾さんの頑張りに期待を寄せている。
松尾さんは五年前に発病した。徐々に手足や声の機能が失われ、勤めていた白山市内の
メーカーに通えなくなり、昨年秋から金沢市の国立病院機構医王病院に入院して人工呼吸
器を装着する生活になった。体で動くのは両足の指先だけで、意思の伝達は、ALS患者
向けに開発された足指で操作できるパソコンや文字盤を使って行っている。
入院以来、「毎日淡々と過ごしていた」という松尾さんだったが、次第に「目標ある生
活を送りたい」と仕事を望むようになった。夢が実現したのは今年九月。同病院の医療ソ
ーシャルワーカー小俣富美さんが関係機関に掛け合った結果、金沢市にある地域生活支援
センター「オープンセサミ城南」を通して、パソコンの仕事を回してもらえるようになっ
た。
初めての仕事は、マーケティング会社から委託されたアンケート調査の集計で、松尾さ
んは妻の睦美さん(43)に読み合わせを手伝ってもらいながら、足指で空気圧式のセン
サーを踏み、二日間で約五時間かけて八十枚の調査票データを入力した。受け取った給料
はわずかだが、「今の自分にもできることがある」と自信になったという。
その後、難病患者の社会参加を支援するパソコン教室経営の田村和義さん=野々市町=
からチラシ作りなどの仕事を請け負うようになった。現在は同じ医王病院に入院する難病
患者三人と事業グループ「イオウ クリエーション パートナーズ」を結成し、ホームペ
ージ作成などの依頼を受け付けている。車いすに乗って、県難病相談・支援センターへ仕
事内容の説明に出掛けるなど、営業活動も熱心に行っている。
医王病院では、松尾さんに刺激を受け「自分も働きたい」と前向きな姿勢を見せるAL
S患者もいるという。松尾さんは「以前に比べて毎日が楽しく、一日が過ぎるのが早い。
現実を認識し、これからも一生懸命生きていきたい」としている。
「イオウ クリエーション パートナーズ」の問い合わせは、KTパソコンスクール内
=076(213)6027=まで。