
新しい抗がん物質を発明した向田教授(中央)と谷口助教(左)=金大がん研究所
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肝臓や膵臓(すいぞう)などのがん細胞を増殖、不死化させる遺伝子「Pim―3」を
抑制し、がんの治療効果がある新たな化合物の開発に、金大がん研究所の向田直史教授と
医薬保健研究域薬学系の石橋弘行教授らが成功した。従来の抗がん剤より効果が強く、治
療が困難な膵臓がんにも有効であることを実験で確認した。八日までに特許を出願してお
り、新たな抗がん剤の開発が期待される。
向田教授らは二〇〇三年、マウスの肝臓がん細胞で活性化している「Pim―3」を発
見した。人間の肝臓がんや膵臓がん、大腸がんでも発現し、がん細胞の生存と増殖に作用
していることが分かり、「Pim―3の抑制ががん治療に応用できる可能性がある」(同
教授)とみて研究を進めてきた。
新しい化合物は、石橋教授と医薬保健研究域薬学系の谷口剛史助教が合成した。試験管
内で増殖させた人間の膵臓がんや肝臓がんなどの細胞にこの化合物を加える実験では、P
im―3の働きが抑えられ、がん細胞が死滅することを確認した。
現在使われている抗がん剤にPim―3を標的にしたものはないため、この化合物が治
療薬になれば、膵臓がんなどこれまでの化学療法が効きにくい種類のがんにも効果が期待
できるという。
向田教授らは「マウス実験で化合物の安全性や有効濃度を確かめた後、臨床試験を経て
なるべく早く新薬として製品化したい」と話している。この成果は十月、名古屋市で開か
れる日本癌(がん)学会の学術総会で発表される。