
山中漆器産地の加賀市で修復技術を教える更谷さん=加賀市山中温泉総合福祉センター
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山中漆器の産地である加賀市で、海外に渡った漆芸品の修復を手掛ける漆芸家更谷富造
さん(北海道)が、地元の職人に修復技術を伝える活動を続けている。山中漆器は昨年度
、出荷額百二十億円と全国トップを守ったが、ピークに比べれば三分の一以下に減少。産
地を支える一つのビジネス分野として確立しようと、七人の職人が修復の技の習得に取り
組んでいる。
更谷さんは十三日に加賀での仮の拠点としている同市総合福祉センターの空き室に足を
運んだ。昨年九月以来、約五カ月ぶりの山中訪問となる今回は、修復技術を習う山中漆器
職人への“宿題”としてロンドンの収集家から修復依頼を受け預かった文箱と三段重箱を
持ち込んだ。
英国など海外にも漆芸品の修復に赴く更谷さんは二年前、加賀市の依頼を受け漆器業者
らを前に講演。この縁で昨年七月から三カ月間、地元の職人有志を募り修復技術を教える
ようになった。蒔絵(まきえ)四人、塗り三人の計七人の職人が更谷さんのもとで技を磨
き、一定の成果を挙げた。
更谷さんによると、漆芸品は作られてから五十年たつと「確実にケアが必要になる」と
いう。海外では江戸時代や明治時代に海外に渡った漆芸品の修復依頼が多く、ビジネスチ
ャンスがある。ただ、修復業は高度な技術が必要なことや材料をそろえる難しさがあり、
バブル期の「作れば売れる」時代を経て、日本の漆器業界では、需要はあってもあまり顧
みられてこなかったという。
市も産地活性化につながる取り組みとして支援する姿勢。今後も毎月一回は山中へ足を
運ぶことにしている更谷さんは「いい物を大事に長く使う。工芸品はそういう物じゃない
ですか」と、修復を通じた職人の技の底上げやビジネスが軌道に乗るように期待した。