
勝木さん(右)に米海軍の感謝状を渡すバーニー中佐=七尾市の佐々波鰤網(同社提供)
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五年前、七尾市の佐々波漁港沖の定置網に引っ掛かり、地元の水産会社・佐々波鰤網(
さざなみぶりあみ)が保管していた深海探査用ソナー装置が十九日までに、米海軍の所有
物であることが判明し、米海軍第七艦隊の司令部のある米軍横須賀基地に引き渡された。
先月には第七艦隊司令官名で同社に感謝状が贈られた。感謝状には日本海で定期調査任務
を遂行中に装置を紛失した経緯が記され、「非の打ちどころのない倫理観を賞する」など
と、装置を保管し続けた能登の漁師に最大級の賛辞を贈っている。
佐々波鰤網などによると、同装置は二〇〇二(平成十四)年六月十一日、佐々波漁港の
沖合約二キロに仕掛けられた同社の定置網に掛かり、回収された。長さ約三メートル、高
さ約一メートル、幅約七十センチで、届け出を受けた七尾海上保安部の調査で、音波を利
用し海底の地形などを調べるサイドスキャンソナーの一種であることが分かった。
しかし、所有者名などは一切、記されておらず、海上保安庁に照会しても「遺失物」の
該当はなかった。同海保は水難救護法に基づき七尾市に拾得物として届け出、佐々波鰤網
が敷地内で保管。同市は、青森から山口までの日本海側沿岸の全自治体に写真と説明文を
送ったものの、反応はなかったという。
所有者は現れず、どのような経緯で流れ着いたかも分からないままだった。その後、佐
々波鰤網の社員がインターネットで同装置の国内販売元がマリメックス・ジャパン(東京
)であることを突き止め、問い合わせたところ、ソナーの中でも一台四千万円以上する高
額機種「DT―1」であることが判明。マ社が米軍横須賀基地に連絡した結果、米海軍の
所有物と分かった。
関係者の話を総合すると、米海軍の艦船が同装置を曳航して調査中、何らかの原因で船
から切り離され、七尾沖に漂着したとみられる。同基地広報担当らは、調査地域や調査目
的などの詳細は答えられないとしている。
先月十六日、スティーブン・バーニー中佐ら米海軍関係者が佐々波鰤網を訪れ、ダグ・
クローダー第七艦隊司令官名の感謝状を勝木省司社長に手渡した。感謝状には「合衆国海
軍にとり貴重なソナー装置を安全に回収、保管してくださった。皆さまが示された模範的
行為と倫理観は、日本国民と御社に大きな名誉をもたらします」などと英文で記されてい
る。
勝木社長は「当たり前のことをしただけだ。しかし、そんなにすごいものとは思っても
みなかった」と話している。
●サイドスキャンソナーDT―1 米・エッジテック社が開発・製造。内部に耐圧浮力体
を持ち、ケーブルで調査船などに曳航されながら地形など海底の状況を音波で調べ、コン
ピューター画面に映し出す。最大で水深6000メートルまで対応でき、販売価格は基本
装備で約4000万円、各種オプション装備を搭載した場合は1億数千万円になる。民間
への販売台数は世界で約10台。